ネガティブ・ケイパビリティ/帚木蓬生

ネガティブ・ケイパビリティ。聞きなじみのない言葉ですが、なんかリズム感があって好きです。その意味は下記のとおり。

ネガティブ・ケイパビリティ(negative capability 負の能力もしくは陰性能力)とは、「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」をさします。 あるいは、「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」を意味します。

これ本当に難しいと思います。問題を抱えながら見通しが立たない状態って耐えられないほど不快なので、とにかくなにかしよう!と思うのが人の性だと思うんです。或いは、問題を過小評価して先送りするってのもありますね。闇雲に動いてしまうか、問題を放置するか。どちらか両極に行ってしまいがちで、その間に留まるのはかなり苦しい。

個人的には、子育てする中でネガティブ・ケイパビリティの必要性を日々実感しています。子供がぐずった時って「どうにも対処しようのない事態に耐え」なきゃいけないし、「性急に証明や理由を求め」ても事態は悪化するばかり。「不確実さ」を受け入れて夕飯、お風呂、寝る時間、全部後ろ倒しになることを覚悟して、「不思議さ」にユーモアを見出して心を落ち着け、「懐疑の中」でウソ泣きの可能性を冷静に見極めなきゃいけない訳です。もはや子育て=ネガティブ・ケイパビリティのような気さえしてきます。

本書を読んでからは、子供がぐずっても「お、ネガティブ・ケイパビリティの時間だな」とか「おれ今、ものすごいネガティブ・ケイパビリティ発揮してるな」とか思うことで、けっこう気が楽になりました。「いまネガティブ・ケイパビリティ状態だ」と思うことで状況を客観視できるようになるんですね。或いは、二進も三進もいかない状況を「ネガティブ・ケイパビリティ」とラベリングすることで、肯定して受け入れられるようになる。おまじないみたいなもんですね。

日々、ネガティブ・ケイパビリティを鍛えるチャンスをくれる娘たちに感謝を捧げたいと思います。


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