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祝日を祝おう_11月23日

「お祝いしようよ、祝日だし」

そんな言葉に寝ぼけ眼をこする。いつの間にか起き抜けていたミハルはふんふんと鼻息荒く息巻いている。
いつもながら唐突だ。夢でも見たのかもしれない。

「祝うって何を?」
「だから、祝日」
「あー、えっと、それじゃあ……どうやって?」
「えっとね、まずはお赤飯炊くでしょ?」
「おお……本格的だな」

朝っぱらからとんでもない事を言い出した。赤飯って確か、作るとかなり時間がかかるはずだ。
眠いから寝たい。だって今日祝日だし。

「それでね、誕生日みたいに祝うなんてどうかなって」
「……んー、まあ、悪くないんじゃない……」
「でしょでしょ?」

誕生日に赤飯っていうのも結構古風だ。そしてもうすでに準備の工程を考えているのか、楽しそうに指折り数えている。ダメだ本気だこれ。

発想自体は悪くないけど、うん、考えるだけで割と面倒くさい。
なんて言い訳をしようか。そもそも今日は何の日だっけ?

「ミハル、こっちおいで」
「? どしたん?」

いいから、と手招けばとてとてやってくる。そのまま腕を伸ばして、華奢なミハルを掴むとベッドの中に引きずり込んだ。

「うひゃあ!?」
「ミハル、今日何の日か知ってる?」
「祝日だよね?勤労感謝の日」
「そう。いつも働いてて偉いねーって日なわけだ」
「そだよ。だからお祝いしないと」

胸を張るミハルだが、やはりズレている。
まあいいか。とりあえず抱き枕代わりに抱きしめておく。あたたかい体温がうつって眠気が増してくる。

「そんな日はゆっくり休まないと、祝日に失礼な気がするんだよね」
「え、そうかな」
「そうだよ。でも祝日を祝うのは悪くないし、昼まで寝てから……うーん、ちらし寿司なんてどう?」
「……ケーキもつけていい?」

なるほどそれが食べたかったのか。口実なんてなくても食べたらいいのに。

「もちろん。豪華に1人2個買っちゃおうか」
「え、え、そんなことが?」
「2人で4つの味が楽しめちゃうね」
「やったぁ!最高!」

足をばたつかせて喜ぶミハルを見てると、疲れが取れていくような気がした。勤労感謝の日に感謝だ。

そのまま話したとおりたっぷり睡眠を取ってから、豪勢な休日を祝うことにした。


勤労感謝の日、毎週感謝してもいいんじゃないだろうか。

出来たら水曜日に欲しい。火曜日じゃなくて。

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