お使いしましょう喜んで_11月14日真偽日記
「お使い系のゲームあるじゃん」
リオンが両手に荷物を持った状態で切り出した。
鼻息荒く聞いてほしいと息巻いているので僕は一応肯定しておく。
「まあ、あるね」
「あれって何が楽しいのかなって思ってたんだけど」
「うん」
「今すーごい楽しいんだよね」
ドサドサと置かれた荷物には頼んだものが入っている。
急にお使いやりたい!なんて言い出した時はどうしたものかと思ったけど、満足してもらえて何よりだ。
「次何いるっ?買ってくるけど!」
「え〜っと……」
テンション高いなぁと思いつつ、僕はリオンから受け取った荷物とメモを見比べる。
あと足りてないのは……
「新鮮な卵と上等な牛乳かな?」
「了解!行ってくるね!」
そう言ってリオンは元気よく駆け出していった。
聞いてくれたら、遠隔で伝えるんだけどな。
「何作ろうかな」
僕はその背中を見送ってから、手元にあるメモを見る。
『小麦粉』『砂糖』『バター』……お菓子作りの定石。
「クッキーでも作るか」
材料を揃えたらリオンも手伝わせよう。
パタパタと走ってくる足音を楽しみに待ちながら、すぐにでも始められるよう準備を整える。
あとから聞いたところによると、どうやらお使いやお願いがクエストとして表示されるようになったらしい。経験値も貰えるんだとか。
そんなリオンから、毎日のようにお使いの催促されるようになるなんて、この時の僕は知る由もなかった。
…
遠出をしてリアルイベントに参加した。
イベントをクリアするにはかなりのお使いをこなす必要があったのだが、目的をクリアするための小ネタやギミックが面白くてついついやり込んでしまった。
とても楽しい。都会はいいなあ。毎日過ごすのは疲れそうだけれど、生活に必要なもの以外のもので溢れていて羨ましくなってしまう。
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