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不確実な自分を見つめる


こんばんは。
最近は以前読んだ本を読み返すことが
多いです。

タイトルと共にある画像の魚の名前は
知っていますか?
チョコレートグラミーといいます。

チョコレートグラミーは熱帯魚で飼育が
簡単らしいです🐟
1番の特徴は親が口の中で卵を保育すること。
はじめて聞きました。

今日はこの魚がタイトルにもなっている
町田そのこさんの
夜空に泳ぐチョコレートグラミー
を紹介します。紹介と言っても全て私の感想です(笑)

この本は5つの物語がおさめられている
短編集です。
がキーポイントではないでしょうか。
水中を社会に見立て、小さく流れのない水槽
や緩急の流れがある川、そしてどこまでも
繋がっている海

その水の中(社会)で泳いでいる人たちのお話です。

Ⅰカメルーンの青い魚
Ⅱ夜空に泳ぐチョコレートグラミー
Ⅲ波間に浮かぶイエロー
Ⅳ溺れるスイミー
Ⅴ海になる

どのお話も自分が今何者なのか、
どこへ行きたいのか、何を愛しているのか
色々考えさせられます

私が印象に残ったのは溺れるスイミー
以降ネタバレを含みます


「共生できないひとには、これでいいのよ」
と母が言った。
亡くなった父と突然、見知らぬ駅で別れた。

父はここではないどこかに行きたいという
衝動が抑えられない人だった。
ちょっと言ってくると言って何日も帰らない
ことが日に日に多くなっていった

母はもう帰ってこなくていいと父に告げた
それから父は2度と帰ってこなかった
生きている間には

そんな両親を持つ23歳の唯子
彼女もまた父と同じ衝動を抱えていた

でも父と違うところは、絶対家に帰ること。
あの日、母に捨てられた父のようにはなるまい
と衝動を抑えて生きていた。

ひょんなことからダンプドライバーの宇崎と
出会う。
時々、彼のダンプに乗せてもらっていろんな
ところに出かけた。
ここではないどこかに行くことで息ができる
ようになっていた。

でもある時、彼に2人でどこかに行ってしまおう
2人で移動しながら生きていこう
と告白と共に告げられる。

唯子は自分の理想の生き方に手がかかった
と思った。
思った瞬間、その生き方に息苦しさを
感じた。

ねぇ、誰か教えてください。
場所だけじゃなかったんです。
私は群れも、無理なのです。
たったふたりきりの群すら、
構築することが苦しいんです。
ねぇ、私は、どこか壊れているのでしょうか。
群れの中で生きていきたいと、
はぐれたくないと思っているくせにどうして、
それができないのでしょうか。
こんなにも、望んでいるのに。

溺れるスイミー

結局彼らは離れ離れになった。
お互いが理想とする未来を築けることを
願って。



私は、この物語を他人事には思えなかったんです。
大学を卒業して7年間教員をしていました。
7年間のうち4つの学校で勤務しました。
正規の採用ではなく、臨時的任用職員で
大体は1年契約、育休代替では契約は伸びましたがいつも更新せずに次の場所へと
漂っていました。

親には毎年のように採用試験に受かれ
教員は安定してていいぞと諭される

採用試験に受かったら、半永久的に
その地に縛られる

そう思うと、試験は受けども合格したくない
という気持ちが常にあったと思います。
結果、受からなかったんですけどね

でもそのおかげで、小・中・高・特別支援学校
全て経験できました。
いろんな世界を知ることができました。

その中で、2.3年経つとどうしても
ここを離れたい、ここではないどこかへ
行きたい

そういう衝動が湧いてくるんです。
色々あって辿り着いた今の場所も
2年と決まっているから全力で
取り組めているのかもしれない
旅行が好きなのもどこか息がつける
場所を探し続けているのかもしれない

群れることも苦手なのかも。
たくさんの人と出会ってきました。
でも結局連絡をとり続けているのは
片手に満たないかもしれない

数年前、恋人に裏切られて1人になった。
それから1人でずっと漂ってきた
心地良くもあって、でも寂しくて

マッチングアプリも衝動的にやってみたこと
がある。やり取りをしていく中で
会いませんか?
と必ず訪れるステージ
私は怖い
もし、彼と一緒になったら
私の人生は私だけのものじゃなくなる
嬉しくもあり、でも大部分が不安を占める

理想はある。結構強めに。
結婚して、子供を産んで
マイホームを建てて幸せに暮らす。

時々この理想が苦しくなる。
何で理想があるのに、一歩関係を進めるのが
こんなにも苦しいんだろう

この本を読んだときにちょっと救われて
ちょっと落ち込んだ

私はまだまだ1人で漂い続けたいんだろう。
またここではないどこかへ行くのだろう
でもふと気づいた時に、隣に誰もいないこと
を想像してぞっとする。

フィクションだけど、妙にリアルな
誰かしら共感できる物語がこの本には
5つ編まれている。
自分の違和感を知るきっかけを
この本で体験してみてください。

では、またここでお会いしましょう。

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