「電車ごっこ」 木村研


 雨、雨、雨。今日も朝から雨で外にいけません。
「つまんないの」
 たかちゃんが、お父さんとお母さんを見ににいくと、二人ともテレワーク。熱心に仕事をしています。
「つまんないの」
 茶の間にもどってカーテンを開けると、窓ガラスをカタツムリが歩いていました。
「わー。遊びに来たんだね」
 たかちゃんは、大喜び。さっそくかたつむりをつかまえて、テーブルの上に置きました。
 カタツムリは、殻の中に潜っていましたが、角を出して、ゆっくり歩きだしました。
「わあー。のろのろ電車みたい」
 たかちゃんは、スケッチブックをだして、線路を書くと、カタツムリが電車になって、ゆっくり ゆっくり発車しました。
 
お母さんが、
「お待たせ。お腹すいたでしょう」
と、部屋に入ってきました。
 すると、たかちゃんは、テーブルにもたれて、気持ちよさそうに眠っていました。
 たかちゃんが目を覚ました時には、カタツムリは、もう、どこにもいませんでした。
「なーんだ。もう帰っちゃったのか」
 たかちゃんは、
「明日も遊びにおいで」
と、いいました。

(作者のことば)
自粛で外にいけない時、カタツムリでも遊びに来てくれたら嬉しいですよね。どうぞ、身近な、いろんなところに目を向けて楽しんでくださいね。

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