「廊下の運動会」 木村研


 雨、雨、雨、今日も朝からずっと雨。
 かっちゃんが、
「つまんない、つまんない。外で遊びたいよ」
というと、
「じゃあ、運動会しようか」
と、おねえちゃんがいった。
「運動会?」
「そう、運動会」
「だめだよ。家の中で走ったら、お母さんにおこられちゃうよ」
「大丈夫。お母さんやお父さんも一緒にやろうって、呼んできて」
 おねえちゃんにいわれて、かっちゃんが、お父さんとお母さんを呼んでくると、廊下に、穴のあいてる新聞紙がはってあった。
「どうしたんだ?」
と、お父さんが聞くと、おねえちゃんは、
「障害物競走よ。新聞紙は破っちゃだめだからね」といって、「よーい。ドン」と、スタートの合図をした。
「よし」お父さんがあわてて廊下を走って、新聞紙の穴をくぐると、大きなお腹がつっかえてなかなか通れない。
「お父さん。がんばれ」
かっちゃんが声援をおくったのに、新聞紙は、ビリっと破れてしまった。
 お父さんは、失格になってしまった。
「次は、ぼく」
 かっちゃんが手を上げた。
 おねえちゃんが、大急ぎで穴を開けた新聞紙を取りかえスタートの合図をした。
かっちゃんは、障害物の新聞紙の穴をかんたんにくぐってゴールインした。
「早い、早い」
お父さんとお母さんが拍手をすると、かっちゃんは、得意そうにいった。
「もう一回」

(作者のことば)
新聞紙を半分に折って、真ん中を破ると大きな穴が開きますね。その穴を通り抜ける遊びです。いかだ社の『おうちは遊びのワンダーランド』には、身近にあるものを使って簡単にできる遊びをたくさん紹介しています。まだまだ自粛が続きそうですが、時どき家の中で運動会をしてみてくださいね。

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