「じゃがいもと猫(3)」 はらまさかず

 「字を読んでほしいんだ」
 大福が言いました。
 「いいよ」
と、じゃがいも。
 「こっちだ」
 ふたりは、歩いていきました。

 しばらくして、大福が立ち止まり、
 「これは、なんて書いてあるんだ?」
と、ききました。そこには、『大学』と書いてありました。
 「ああ、これは大学(だいがく)って書いてるんだよ」
 「大学ってなんだ?」
 「むずかしい勉強をするところだよ」
 じゃがいもが言いました。
 「『大』という字がついているから、てっきり、オレのことかと思ったよ」
 大福はほっとして言いました。
 「ありがとう」
と、大福。
 「どういたしまして」
と、じゃがいも。
 「ところで、大学っていうのは、オレが、もっちゃんに字を教えてもらったところかな」
 「それは、たぶん小学校だよ」
 「そうか。じゃあ、小学校の次か」
 「小学校の次は中学校だよ。その次は高校、それから大学だよ」
 「人間はそんなに勉強するのか」
 大福はびっくりしました。そして、小学校よりもずっとむずかしいことを勉強する大学というところを、一度見てみたいと思いました。

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