「なつめさんは本屋さんです」 はらまさかず


 なつめさんは、本屋さんです。
 古い小さなバスに本をつめて、いろんな街をまわります。
 
 のんちゃんとお母さんがおさんぽしていると、
 「あらっ?」 
 バスがとまっていました。バスには、
 『なつめの本屋さん』
と書いてあります。
 となりには、メガネの優しそうな女の人がいました。
 「いらっしゃいませ」
 のんちゃんとお母さんは、本屋さんに入りました。
 なかには本がぎっしり。でも、本をひらくと、鉛筆で書かれた文字。それは手作りの本でした。
 「あっ!」
 お母さんが声をあげました。
 「これ、あたしが子どもの時に書いたお話だ!」
 なつめさんが、ふふふとわらいます。
 「これ、いくらですか」
 「お金じゃなくて、かわりのお話とこうかんこ」
 なつめさんが紙と鉛筆を出しました。
 お母さんは、お話がうかばなかったので、かわりに、のんちゃんが書きました。
 なつめさんの本屋さん、みんなのところにも、いつか来ますよ。

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