「小人たちは そばにいるよ」  はらまさかず

 喫茶ギンガの、丸い石油ストーブにあたっていると、ほっとします。
 「なんだか、ストーブのなかに小人がいて、はげましてくれてるような気がするなあ」
と、ぼく。
 「いるよ。小人がみんなで青い服をきて、輪になって歌ってるよ」
 マスターがいった。
 「そんな小人がいたらなあ」
 ぼくがそういうと、マスターがこっちにやってきて座った。
 「きみんちにもいるじゃない。困った時にはげましてくれたり、素敵な言葉をかけてくれたり。棚や机の上から、そっと、きみを見ていてくれる。ほら」
 「ああ」
 マスターがぼくにさしだしたのは、本だった。
 そういえば、喫茶ギンガには本がたくさん置いてある。
 やさしい小人でいっぱいだ。

 (喫茶ギンガ 第8話)

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