「カイガラホテル2」 はらまさかず

 ある日、なみさんから手紙が届きました。
 手紙には、こう書いてありました。

 「こんにちは。お元気ですか。
 ホテルの引っ越しをすることにしました。
 理由は、どこか別の海辺へも、行ってみたいというのが一つ。そして、もう一つは、このホテル、前にもお話しした通り、もともと貝殻なので、たまに海の水につけなくちゃならないのです。ほら、海で貝をひろって持って帰っても、お家では海で見たようにきれいではないでしょ。
 ホテルの引っ越しは、大変だろうって?
 ぜんぜん。ヤドカリたちに頼むから。かれらは、とっても引っ越しが上手なんです。これまでも、何度も頼んできたんですよ。
 また、どこかの海の見える丘で、会えるといいですね。」

 ぼくは大急ぎで、カイガラホテルに向かいました。
 そこには、
 何もありませんでした。
 ただ、地面に、ヤドカリたちの歩いた後だけが残っていました。
 ぼくは目を閉じ、耳をすまします。
 ぼくは、海に向かって手をふりました。

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