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「エリザベスの話(1)」 はらまさかず

シャム猫のエリザベスは、マンションの3階の窓からいつも外をながめいました。エリザベスはマンションの外に出たことがありません。友達も誰もいません。エリザベスは後ろ脚が動かず、生まれつき歩けないのでした。
そんなある日のことです。
どこをどうやって来たのか、窓の向こうに、きたない野良猫がやってきました。大福です。
大福は「外へ行こうぜ」といいました。
エリザベスは、ふんっと、そっぽをむきます。

大福はそれから毎日のようにやってきました。
いつも、花をつんで。
やがて、エリザベスは、大福が来るのを今か今かと待つようになりました。


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