999ひきのきょうだい番外編2 「だめなおにいちゃん」 木村研

 春の小川で、メダカのきょうだいが鬼ごっこをして遊んでいると、おたまじゃくしがやってきて、
「ぼくも、いーれて」
と、いいました。
「いいよ」
 メダカたちは、おたまじゃくしを仲間にいれて、いっしょに遊びました。それなのに、おたまじゃくしはのろまで、すぐにつかまってしまいます。
鬼になると、だあれもつかまえることができません。
「だめだなあ。つまんないよ」
 メダカたちは、さっさと、どこかにいってしまいました。

 それから何日かたったある日、メダカのきょうだいが、楽しそうにあそんでいると、おたまじゃくしがやってきて、
「ぼく、これから陸にあがるんだ」
と、いいました。
 おたまじゃくしのしっぽが小さくなって、足と手がはえていたのです。
「陸にいけるの、いいなー」
「手と足がはえたからね」
 おたまじゃくしは、メダカたちに送られて、ぴょんぴょんぴょんと、小川の外にでていきました。
「おにいちゃん」、「まってたよ」
 外では、先にかえるになった弟たちが待っていましたよ。
 カエルのきょうだいは、やがて、りっぱなトノサマガエルになりました。 

(作者のことば)
ボクの書いた絵本に『999ひきのきょうだい』(ひさかたチャイルド刊)のシリーズがあります。カエルのきょうだいが活躍(?)するお話です。今年は学校がお休みになって、外で遊ぶこともできません。でも、999ひきのカエルのきょうだいは、みんな元気です。

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