「さんぽをしていると」 はらまさかず
さんぽをしているうちに、また、ふしぎの町にまよいこんでしまったようです。
道で太ったねこが、電柱をまくらに、お腹を出して寝転んでいます。ぼくと目があうと、むっくりと起き上がって、筆を取り出しました。そして、得意げに電柱に「大福」と書きました。たしかに、その猫は大福もちそっくり。ぼくは思わず、わらってしまいました。
しばらくいくと、今度はじゃがいもにそっくりの犬に出会いました。なんだか難しそうな顔をしています。犬をつれていたおじいさんと少し話したのですが、おじいさんは毎日、犬に新聞を読んで聞かせているのだそうです。そのうちに言葉を覚えたらしく、犬はおじいさんが読み間違えると、ちらりと見るのだそうです。
ここは動物たちだけでなく、小さな虫たちや草木、夜の星やふきぬける風までが何かを思い、考えているような気がします。彼らの思いが伝わってくる不思議な町でした。
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