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精神障害者手帳とタクシー

 精神障害者手帳を持っている。減税だったり各種割引があってありがたい。都営の公共交通が無料なのは特にポイント高い。

 まあそんなありがたいサービスだが、ちょっと困った側面もある。サービスを受ける際、必然的に「私は精神障害者ですよ」と表明することになるわけで、それをしなければ表面化しなかった差別を受けることになる。

 一番頻度が高いのはバスだ。駅に出るためにバスを使う立地なのだが、手帳を提示すると半額になる。これは大変大きい。大きいのだが、少なくない運転手が面倒くさそうに割引操作をするし、なんなら舌打ちまでする。

 110円という現金のありがたさと、舌打ちを受けることそのもの、嫌な反応を受けるかもしれない防御反応をせざるを得ないことによるダメージは果たして釣り合うのだろうか? と思いつつ半額割引を受けている。ときに舌打ちをされながら。

 さて、ダメージコントロールのために割引の恩恵を放棄したのがタクシーだ。タクシーに乗るのは基本的に精神の調子が悪い時で、そもそもダメージを受けやすい。受けやすいのに少なくない頻度で密室の中で説教される。端的に言えば「キチガイを運ぶのに俺の給料が減るのは気に入らない」という内容だ。本当かどうかは知らないのだが障害者の割引分そのまま給与ないし収入(個人タクシー)が減るとの主張だ。

 これが非常にダメージが大きい。精神の不調を押して外出しているのに、その外出を否定されている訳だから当たり前だと思うのだけれど。

 結局、タクシーに乗る時点で不調なのだから、そこに追い打ちを受けること、受ける可能性を考えてしまうことは割引額(10%)に見合わないダメージだと考えて手帳の提示はしなくなった。

 同じ駅で同じタイミングで利用することが多いため、同じ運転手に同じ説教をされることもあり、個人タクシーや特定のタクシー会社が嫌いになった。しかし、駅の停留所ではタクシー会社は選べない。困ったものだ。まあ、そもそも一対一の密室になるタクシー自体が苦手ではある。

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