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2023年7月の記事一覧

すまないが大島弓子が好きなのだ

川上未映子が大島弓子について書いた『大島弓子を読めないで今まで生きてきた』(『そら頭はで…

言葉と意味についてのあれこれ

その昔、演劇青年だった。高校の頃から演劇部に所属し、飽き足らず別劇団も作り、大学に入って…

破天荒のディテール

南方熊楠が好きで、関連書をよく読む。 偉そうに「南方熊楠が好きで」なんて言ってるが、実際…

物語は終わらない(終わらなくてよい)

昔、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ・シリーズに熱狂した頃、新潮文庫から全10冊で出…

将門を読む

1976年にNHK大河ドラマとして放送された『風と雲と虹と』を、小学三年生の僕は親と一緒に、よ…

石垣が外れる

大切なことは目に見えないんだよ、と小さな王子が言ったから(正確には言ったのはキツネ)、な…

尼崎

出産間近の女性という、普段はあまり接点のない層の人と、少しだけ会話する機会があった。 他愛もない世間話だったのだが、子供が産まれて大きくなったら今のマンションも手狭だし引っ越しを考えなきゃ、みたいな話になって、 「でも西宮って家賃高いから・・・」 「尼崎とか安いですよ」と、僕。 「尼崎!(笑)えー、尼崎はだめですよ」 彼女は僕が尼崎に住んでいることを知らない。 「なんでだめなんですか?」 「だって・・・」 と、彼女が説明するには、とにかくガラが悪すぎる。駅が臭い。子供の頃から

一分前まで猫だったもの

よしもとばなな『アルゼンチンババァ』読了。短いが端正で美しい小説。 『アルゼンチンババア…

技術について

遠藤ケイ『熊を殺すと雨が降る/失われゆく山の民俗』(ちくま文庫)を読む。 熊を殺すと雨が…

盗作とリスペクトの間

有名な話なのだろうが知らなかったこと。 井伏鱒二の『言葉について』という短編を読んでいた…

種を蒔く

高校生のときに学校の図書委員をしていて、案外誰もなりたがる人がいないもんだから僕一人だけ…

其風画白

人生解毒波止場 根本 敬 洋泉社 地下鉄御堂筋線・動物園前駅で降り、山王交差点脇の出口からJ…

オニヤンマの爆死

男の子というのはたいてい子供のころは虫が好きと相場が決まっている。その中の何割かが長じて…

福子(『ダイエット』について)

『大島弓子が選んだ大島弓子選集6』 大島弓子 メディアファクトリー もう20年近く、定期的に何度も何度も何度も読んでいるのに、大島弓子の中でどうにもこの話だけあまり共感が出来なかった『ダイエット』。 やっと、やっと、わかってきた気がする。 どうしても、まだわかりやすい人物であるカズノコやカドマツを中心に据えて福子を眺める、という視点から脱することができなかったのだ。 あまりにさらりと描かれる福子のぎりぎりなはずの心を、絵柄に騙されて低く見積もって読んでいたのだ。「叙述のトリ