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東京の名もなき欠片

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世界中でもまったく異質で稀有な都市、東京の空気、色、乾いた感傷をつづります。~An unnamed piece of Tokyo~
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#エッセイ

六本木ヒルズライブラリーがなくなって

 自分にとってこれほど切実にサードプレイスが重要になるタイミングで、長年なんとなしに利用…

秘すれば花
1か月前
7

トーマス・クラウン・アフェアーと1999年

 「トーマス・クラウン・アフェアー」という映画をアマプラで観た。1999年公開とのことで、タ…

秘すれば花
3か月前
11

蓮の池の午後

 うそのように気温が落ち着いた土曜の午後だ。冷房もオフ、開け放った窓から心地よい風が流れ…

秘すれば花
3か月前
8

嗚呼、伽羅よ伽羅

 お線香を日々燻らせる生活なのだが、この10年ほど(そんなにやってるんだな…)は白檀、沈香…

秘すれば花
5か月前
11

母と暮らす

 新年度が怒涛。というよりも年度末が怒涛でその通り過ぎた風力がまだあおっているというのが…

秘すれば花
7か月前
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香彷徨遍歴仮名手本

 「ああやっぱりそうなのか」と、ある試みにおける見込み違いの結論を得た。自分は香水を、多…

秘すれば花
8か月前
4

ただ刹那に通り過ぎていくもの

 どんな人間になりたいですか?私はすこーんと突き抜けからっとした人間になりたいのです。というからには実際が、じめじめくよくよした人間だという自覚があるわけです。  ただそれは、表面的にはそう見えないよう努めてふるまっているために、そのような印象はほとんど持たれていないこともわかっており、そこは奇しくも自分ブランディングが成功しているのかもしれません。ただ時折、真にからっとしたひとに遭遇するとその取り繕う必要のない潔さがまぶしく、文字通りくらくらとすることがあります。光が潔く

美しくビターなファンタジー

 今週も最高に仕事しまくってもぎとった週末、土曜日にとことん惰眠を貪ると決めていたのに燦…

秘すれば花
9か月前
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凡庸さに受け入れられる

 1年半ほどが経って、いま私の髪は肩下を超す長さにまで伸びた。22年の年明け、耳を出す短さ…

秘すれば花
9か月前
4

カウントダウン4日

 28日、仕事納め。年末恒例の広告代理店時代の先輩とランチ忘年会を終えてから出社。先輩は昨…

秘すれば花
10か月前
3

くるみ割りのファンタジー

 念願が叶って、中2と小6の姪っ子(引率の姉も)をバレエ鑑賞で東京に招待することができた。…

秘すれば花
10か月前
10

暮れ行く日々

 先日美容院に行った。ここだけは年末らしい書き入れ時の様相を見せるなか、その日最高気温が…

秘すれば花
10か月前
8

くるみ割りと元上司

 1年のうちいくつか私的に恒例行事としていることがある。1つには、あえて意識して恒例化す…

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英国ブランドづくめでフィニッシュ

 「今日は、その、やっぱり気温ですか?」と、いかにも熟練のミラノマダムのような販売員のご婦人が言う。聞き方のあまりのマーケティング観点ぶりに、この人はやっぱりデキる人なんだな、と瞬間的に感じながら、役に立てるような回答をしようと思った。「ええ、気温ですよね。夕方になるとだいぶ今日は涼しさを感じられて。やっぱり9月だから例年のように秋のお洋服が欲しくなるわけだけど、日中あまりにも暑いので服を見ようとも思えない。要するに“新しい服を着たい”気分が盛り上がらなかったわけです」と答え