2022.11.30 終わる日

新作のポケモン(スカーレット)をやっている。それはもう、やっている。最強のスタメンを決め、チャンピオンになり、個体を選別し、伝説のポケモンを一通り捕まえた。図鑑もすぐ埋まる。そろそろ終わりだ。終わったら二度と触ることがなくなるし、記憶からも抹消されてしまう。

昔から、始めると狂ったようにそれをやり続けるくせに、やめるときは一瞬だった。

ミニ四駆も、ハイパーヨーヨーも、ポケモンカードも、スーパーぷよぷよも、もすべて寝食を忘れて取り憑かれたように熱中したが、ある時ふと「俺は何をしていたんだ」と我に返り、次の日から何事もなかったかのように、デカダンな日常に戻る。

そんな生き方をずっとしてきた。自分でもちょっと怖い。「俺は何をしていたんだ」と我に返り、ふらっとどこかに消えてしまうのではないか、と。

まあ、趣味として残っている手品も本も、あまりに深い夢を見せてくれている。まだまだ我に返る予定はなさそうだ。

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もうすぐ11月が終わる。11月が終わったら12月が来る。12月が終わったら13月、14月、15月、16月……。こうして一年は終わることがない。人々は永遠の生を生き、好きなことを好きなだけやって毎日を過ごす。居酒屋のたこわさも、31アイスのお試しの一口スプーンも、寝起きの「あと五分だけ」も尽きることがない。戦争もなければ芸術もない(芸術は人間の負の面からしか生まれない)。なんて幸せで、なんておもしろみのない世界なんだろう。

——そんなことを考えていたら12月になった。師走の「師」は手品師の「師」である。今月は忙しく走り回る。クリスマスパーティーに忘年会、年が明ければ新年会。余興余興、余興の連続。心してかからねば。

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