ブランの新しい旅。ー『たびする木馬』ー<9>
こんにちは。今日が原画展最終日なので、『たびする木馬』のご紹介も今日が最後となりました。
私は数ある絵本のジャンルのなかでも、一枚一枚の絵の中にテキストだけでは拾いきれないストーリーがある作品が好きです。見る人がそれぞれの経験や人生観で「こうなのかな」「どういうことなんだろう」と自問自答や反芻ができて、子どもたちはただ眺めて「これが美しいということか」と本能で思える絵本。今回も『たびする木馬』のような素晴らしい作品に出会えて本当に良かったなとしみじみしています。
さて前置きが長くなりましたが、老人を失ったあと倉庫で長く眠り続けるブランの埃よけ布をめくる怪しげな集団が登場します。
躍動感あふれる4人組。顔がわからないようマスクをして機敏な動きでテキパキと倉庫を物色する様は、プロの窃盗集団でしょうか。
ブランは突然、懐中電灯の眩しい光をあびて心底びっくりしているようにも見えますね。ブランが生まれて100年ほどすでに経過しています。きっとブランにとっては懐中電灯もこの時初めて観たに違いありません。
骨董品で傷だらけのブランは、彼らによって倉庫から連れ出されてしまいます。連れてこられたのはおがくずいっぱいの工房。そこで吊るされたブランは大切な足を外されてしまいます。
廃棄されるわけではなさそうですが、ブランはこのあとどうなってしまうのでしょうか。
新しい旅の予感をさせる『たびする木馬』のご紹介はここまで。ブランの行く末はどうぞ絵本のなかでご確認くださいね。
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牡丹靖佳『たびする木馬』(アリス館)絵本原画展
|会期| 2023年8月18日(金)-9月3日(日)
*会期中、8月22日(火)・25日(金)・29日(火)はおやすみ