そのままでいてね。

先日、コワーキングスペースにて、大学生と話をした。彼女はそこにアルバイトとして勤務していて、私はしつこく話しかけたりする。要は、私は彼女に懐いている。

そんな彼女の話を聞いた。とりとめのない話だったけれど、とある言葉に私のセンサーは反応した。

それは簡単に言えば「同年代の子達と話が合わない」ということだった。私もそんな感覚があったから、ついつい昔を思い出して、話をしてしまった。

勝手だけど、私は彼女に親近感を抱いて、過去の私を投影して、彼女に声をかけながら、過去の自分にも声をかけていたように思う。
結局、気の利いたアドバイスなんてできやしなかった。
今だって、気の利いたことは浮かんでこない。

浮かんでくるのは、ただ、そのまま行きなさいという言葉だけだった。そして、そのまま生きなさい。大丈夫。それだけ。


もし、過去の私となにか交点があるなら、もし、今から贈る言葉が彼女の心のなにかを掠め取ったら、少しでも気が楽になったら。そんな願いでここに書き留める。ね。

私信。
過去の私はね、とくに20代なんだけど、「普通になりたい」「普通の生活がしたいだけ」なんて願って、それが出来ない自分を嘆いていてね。

馬鹿なわけじゃないから、その「普通」という思い込みをほぐしてしまえば楽になれる、そういうのはわかっていたんだよ。

でもね、普段会う友達とかと話してもなんだか苦しかったり、見てる世界がなんとなく違うと感じたり、「会社員」がうまくできなくて早々に退職しちゃったり、もう、自分がわからなくなって、苦しかった。わからないから、わかりやすい「普通」に縋ったの。

そんな自分でもこうやって生きていて、そして今清々しい気持ちで過ごしていながらも、ときどきは布団にもぐって泣いてみたりして。
人にはどう映ってるかひどく気になったりしながら、それでも私は貴女に、勝手に何かを送るとするならば。

もう、本当にそのままでいてね。あなたの生き様は本当に美しいのよ。
自信をもてなんて言わないよ。もうその生きようとする姿だけで美しいんだ、って、少しでもこの言葉が届けばいいな。

20代、ひたすらもがいてみたの。ダメなことは多かったけど、それでもね、もうあんなことできないの。繰り返せない。なぜならあれは命の煌めきでもあったから。
過去の私も、今の貴女も、星みたいに燃えて綺麗だって思うのね。

体や心のことを考えたら、本当は私の立場からすると、止めないといけないところがあるかもしれない。でも貴女が選ぶことは全部ぜーんぶ、未来の貴女がちゃんと受け取って、責任とやらもとってくれるから大丈夫よ。そう私は信じていて、さ。心配しながらも大丈夫だと思ってるの。
方法論なんてなくて、そうじゃなくって。それが自分に対する愛だってわかる日が、絶対くるから。大丈夫よ。

きっと、みんなが傘をさす雨の日だって、果敢に体ひとつで走り抜けて、雨が体を打つその感覚だってエネルギーにしちゃう力が貴女にはあるだろうからさ。
せめて、もし雨宿りがしたくなったら、私という場所を思い出して。
また走ったらいいんじゃないかな。

私の役割はそこだと思うから、待ってるけど、わざわざ雨宿りはしなくていいの。その場所があるってだけで、人っていくらでも頑張れたりするから。
頑張れなんて言わなくても、常に頑張っている貴女には野暮かしら。これって。

この言葉さえもきっと野暮ね。でも贈らせて。
貴女がきっかけで私は、過去の私を許すことができたの。

結局は、私は貴女にお礼がいいたい。ありがとう。そして、そのままでいてね。

また会いましょう。とりとめのない話をして、いつでも、貴女は貴女なんだって、私が覚えておくから。どんな貴女にだってなれるよ。なっていいんだよ。そのままでいてね。

自分がわからなくなったら、雨宿りにきてね。
いつでも貴女は貴女だって、私は言えるから。

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