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丸佳浩が巨人にもたらすものとは?

一昨日、巨人がFAで広島・丸佳浩(29)の獲得を発表した。丸といえば、2年連続セ・リーグMVPで、広島カープを三連覇に導いた選手の1人だ。そんな丸が巨人に移籍し、もたらすものとは何なのか、それを考えていきたい。

外野手の打力

ここで、今年の巨人の主な外野手の打撃成績を見てみよう。

OPSは全員.700台と、高い選手がいないのが分かる。本塁打は最多でもゲレーロの15本で物足りなさを感じる。ここで、wRCという指標が出てきているが、これは打者が創出した得点数を表している。例えば、長野のwRCは55.0なので、長野は1年間に55得点を創出したということになる。

次に他球団の外野手と比較するために、今年の12球団外野手wRCランキングを見てみよう。

これを見ると、王者広島と巨人の差が明らかである。広島と巨人のwRCの差は131.4となっていて、1年間で約131点もの得点差が外野手だけでつけられてしまっている。確かに広島の外野手の打力は12球団で圧倒的ではあるが、巨人は優勝を目指す上では低すぎると言える。あとはOPSを見ると、.800を超えている球団が5球団もあることが分かる。外野手は内野手に比べて、守備負担が少ないので、その分打力が求められる。よってチームの得点力アップのためには、強打の外野手は必要不可欠である。

では、以前の巨人の外野手の打力はどうだったのか見てみよう。

リーグ優勝した2014年から下がって上がって、今年は2014年とそこまで変わらない。2014年の巨人は投手中心のチームで、打撃陣はそこまではなかったのである。近年、巨人は外野手の打力不足で悩まされてきている。

ここで丸が加わったらどうだろうか?

丸は今年、打率.306 本塁打39本 97打点 出塁率.468 長打率.627 OPS1.096という圧倒的な成績を残して、セリーグMVPを受賞した。

そんな丸のここ5年のwRCの推移を見ていこう。

丸のwRCは毎年100.0前後にあり、2015年から毎年上昇している。今年の巨人の外野手でwRCトップは長野の55.0だったので、丸が加入することで大幅に外野手の打力アップにつながると予想できる。

では、どのくらい得点が上がるのか計算してみる。丸のwRCを過去3年の平均としてみる。1年間で620打席立ったとすると、wRCは109.0となる。残り2人の外野手のwRCを、今年の巨人外野手の平均として計算すると、それぞれ67.8、67.8となる。すると、丸を加えたときの外野手wRCは244.6となり、今年より約41.2点上がるということになる。また、広島から丸が抜けたことで広島の外野手の打力は落ちることが予想されるので、広島と巨人の差は結構縮まるだろう。しかし、これでも外野手の打力は十分とは言い難いので、個々のレベルアップは必須である。キーになる選手としてはゲレーロが挙げられる。彼が昨年見せた本来の打撃ができれば、外野手の打力不足という課題のクリア見えてくる。

※あくまで計算による予想であるので、現実とは異なるので参考程度に。

左の強打者

かつての巨人は小笠原、李承燁、高橋由、阿部のように左打者のが強いチームだった。ここ数年の巨人は左の強打者がいなくて、打線に右打者がズラっと並ぶ右打者偏重打線になっている。そのため、各々の打者の弱点が被り、打てない試合はとことん打てなく、打てる試合は打ちまくる、というようなゼロヒャクになっている。チーム1の左の強打者が来季40歳の阿部で、OPSは.769である。そんな今の巨人の弱点を解決するべく、丸には舵を切ってもらいたい。丸1人でこの問題が解決できると思ってないが、これを機にこの問題の解決が進めばいいと思う。

センターライン

センターラインが固まっているチームは強い。かつて巨人をV9へと導いた名将・川上哲治監督もセンターラインを固めるところからスタートしたそうだ。

丸の加入でセンターは丸、ショートは坂本、セカンドは吉川尚と、固定できればチームは変わってきそうだ。今の時代、疲労や打撃の波などで捕手の固定というのは難しくなっているので、そこは厳しいかもしれないが、やむを得ない。

次に丸の守備について見ていこう。

過去5年のデータを見てみると、年によってばらつきがあると分かる。2015年から2017まで着実に上がってきていたUZRがなぜ今年下がってマイナスになったのか、考えてみた。丸は今年、太ももの怪我で1ヵ月離脱をしていて、それが関係していたのではないかと予想する。本拠地が変わり、天然芝から人工芝に変わるというのもあり、来年どうなるか不安であるが、丸は元々守備が上手い選手であるので期待したい。

勝利貢献度

丸の勝利貢献度はどのくらいのものなのか、過去5年で坂本と比較してみる。

5年間合計のWARは坂本のが少し勝っているが、2014年、2017年、2018年は丸が勝っている。ここ2年は坂本をも圧倒して、セ・リーグを代表する選手になっている。

どういう存在に?

かつてMVPを獲って、翌年FAで巨人に来た例が工藤と小笠原の2つある。

1999年 75勝60敗0分 勝率.556 2位(首位と6ゲーム差)→2000年 78勝57敗0分 勝率.578 首位(2位と8ゲーム差)

工藤 2000年 12勝5敗 防御率3.11 136回 148奪三振

2006年 65勝79敗2分 勝率.451 4位(首位と23.5ゲーム)→2007年 80勝63敗1分 勝率.559 首位(2位と1.5ゲーム差)

小笠原 2007年 打率.313 本塁打31本 88打点 出塁率.363 長打率.539 OPS.902

いずれの年も加入1年目にリーグ優勝を成し遂げている。彼らだけの力ではないが、彼らの加入は相当なものをもたらしただろう。

丸には工藤や小笠原のような存在になってほしい。自分が活躍することはもちろん、周りにまで影響を与えるプレーヤーに。近年の巨人はFAで補強した選手が上手く機能せず、FAに嫌悪感を覚える巨人ファンすら出てきている。そういった巨人ファンに格の違いを見せて欲しい。

丸佳浩が5年ぶりのリーグ優勝のカギを握るのは間違いない。




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