あなたの真隣にいた遠い国の住人の私
ある時ふとこういうことを思い出した。
サークルが終わった後皆でテキトーにダベっていたとき。
目の前の後輩が部室内に虹色の何かを見つけてもう一人の後輩にこう言った。
「これLGBTだよね」と。
特に虹色のフラッグでもなく、何かお菓子の袋とかそんな物だった気がするがよく覚えていない。
別にそんな大した会話ではない。
LGBTを小馬鹿にした言い方でもなかったし。
例えば緑と白と赤の色がたまたまどっかに並んでいたときに「あれイタリアみたいだね🇮🇹」みたいな、それくらいの何ともない話よくするもんだ。
(こんなことを話すと話のネタが尽きたのがバレバレだが周りは暖かい目で見守ってちょっと話に乗ってくれることがある。優しみ。)
だけどなんだかこの記憶は私の胸に引っかかってしまった。
真隣にいた私は性的マイノリティ当事者であった。
私はMtXのXジェンダー/ノンバイナリー。
性自認が男性とも女性ともいえないし、自分の服装・外見も中性的なのでいるのが好きだ。どちらかというとメイクも好きだし女の子よりの格好をしてる方が好きだが。だが、大学やサークルとかでは大体中性的な格好かメンズっぽい格好で留めておいている。
広義でいえば、LGBTのTのトランスジェンダーに入ることもある。らしい。
カミングアウトは、何回か話して、なんとなく波長が合いそうだと感じて、信頼できそうな一部の友人等にはしてきた。
しかし、私のサークルのメンバーたちは皆優しくて、人と違うところを頭ごなしに否定するような人はほぼいないと分かってきて、あるとき私はサークルのメンバーで担当を回して書いているサークルのブログにしれっとカミングアウトしたことがあった。
それを投稿してから次のサークルの日以降、私に対して接し方を変えた人は特にいなかった。
①ブログを読んだけど、これまで通りあなたはあなただから関係ないよ、
という風に思ってくれたのか、
②ブログを読んだけど、なんだかよく分からんし触らぬ神に祟りなし、
と思って触れないようにしたのか、
③それとも単にブログを読んでないのか、、
それぞれが何人ずついたのか全く謎だが、、、
まあとにかくサークルでは私のセクシュアリティについておおよそ受け入れられていると信じていた。
ところが「LGBTだよね」と言った後輩はサークルに入りたての新入生だった。
私がカミングアウトしたブログを書いたときにはまだあの子たちはサークルにいなかった。
新入生が入ってきて、しばらく活動して慣れてきてある時期になったら、新入生にもブログの存在自体や、ブログへのログインの仕方を教えたりして、ブログを書く担当が回るようにしていく。
だから、入ってすぐの新入生が、よっぽど元からうちのサークルのファンでもない限り、サークルのブログを読んでいる可能性は低い。かも。割と過去の投稿だしね。
だから新入生で私のセクシュアリティを知っている人はほぼいない。のかな?
外見が中性っぽいなーくらいは思ってても、まああの人は一応「オトコ」と大体思ってんじゃないかな。
だから当事者に関してどこか他人事のように「LGBTだよね」と言っている響きがあった。単にレインボーフラッグがLGBTを象徴するという知識を確認するような。今度出るクイズ番組への練習をしているかのような。
「私のような性的マイノリティがすぐ近くにいるのに、あんたらは『いるはずない』と思って、いや、『いる』という発想すらなくて、昨今の性的マイノリティの問題についてホントに不勉強ね!!日本国内ではLGBTの人は名字が「佐藤」の人よりも多いのよ!!他人事でいられると思ってるの!!ウンタラカンタラゴニョゴニョ…」
とかいうつもりはありません。
(うそ、ほんのちょっとは言いたかったかも、2%くらい)
別にこのことについて大して傷ついてたりとかしてる訳ではない。その後輩たちとも仲良く喋ったりふざけあったりもしてるし。優しくて気のいい後輩たちだし。
ただ、その一瞬だけ、真隣にいたのに、その後輩にどこか遠い国の住人のように扱われた感覚は少し寂しいものを感じてしまった。
(まあいわゆるはーふでもあって血の半分は遠い国から来てるんだけど、ね)
LGBTの方にも様々な方がいて、自分を知って欲しい方や、自分のセクシュアリティを隠して生きていきたい方がいらっしゃって、そんなに簡単にカミングアウトできない方も多くて、それ故に、「佐藤さん」よりその存在が気付かれないことが多いと思うが、確実にあなたの近くにもいるはずで、非LGBTの方にとってどこか遠い国のことのように他人事のようには思ってほしくないというのが私の気持ちである。
まあ、私も広義のLGBTでありながらもまだまだLGBT(Q+)について不勉強で、文章も拙い私ですが、現時点で思ったことについて書いてみました。
ちなみにLGBTの割合についてはこちらが参考になると思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?