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名前も知らないけど友達になりたかった人の話


仲良くなりたい人と仲良くなれる人生だった気はする。
ただ大学時代に2人、友達になりたかったけどなれなかった人がいることを最近思い出したので、書き残してみる。


1人目は、バイトの帰り道に出会った。


なんとなく、いつもの道ではなくド・田んぼ道を選んで帰った日、通りかかったオンボロアパートのベランダで、男性が一人でしゃがんでスイカを食べていた。

スイカって、夜にベランダで食べることあるんだ………

私の中のスイカは、クーラーの効いた室内または真夏の炎天下にて食べるものだったため、どうにもその光景が合成のように見えた。

思わずこの人に、「今日スイカあるけど来る?」って誘ってもらえるくらいの友達だったら、と考えてしまう。

たぶん、「スイカには塩をかけたほうがうまい」なんて言わないし、言ったとしても私が「合わないよ」といったら「そっか」と流してくれるはずだ。

なんの準備もなく当日に誘われて、だらしない部屋で惰性で一緒にスイカを食べていられる人が近くにいたら、たぶん救われる夜があった気がする。


2人目は、大学の図書館で出会った。


大学四年生の冬、卒論の資料とpcを抱えて図書館に行くと、

「クリスマスの思い出または、サンタさんへの
お願いを書いてね」

という紙が置いてあった。

私は七夕の短冊なども見かけるとつい書いてしまう人間なので、足を止めた。

サンタさんへのお願いを書く前に、既に他の人が書いたものが壁に貼られていたので、そちらを見てみることにした。


その中のひとつがこちら。

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小2の時
親に「今年サンタさん来れないみたい」と
泣きながら告げられ本当に来なかった。
Merry Christmas!!


ヘビーな話をフラットに話せる人のことは基本的に好きなことが多い。

こんなに軽やかにメリクリと書けるようになるまでの話をこの人から聞いてみたかった。たぶん何言われても「そっかあ、で、次何飲みます?」としか言えないけど、聞いてみたかった。

だってChristmasだよ。私X'masとしか書いたことないよ お母さん、この子ちゃんと賢く大きくなってます

結局、私は「サンタさん、完成した卒論をください」としか書けず帰ることになった。

この人が今年のクリスマスもなんとか笑っていられることを、私はひっそりと祈っている。


#noteのハッシュタグわからない #人生 #OL邂逅備忘録

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