私も誰かのアゲハ蝶だった頃があったのよ奥さん!
ポルノグラフィティはなんとなく知ってる程度のバレエ少女だった中2の時。
男友達A君は、小学校から一緒で仲が良く、家も近かったのでよく遊んでました。
なんでも話せるので、恋愛相談もしてましたね。
A君の部屋でゲームしたり、好きなキャラクターの絵を描いてもらったりしながら。彼はイラストが本当に上手だったんです。当時ハマっていたジャンプ連載マンガ「封神演義」の普賢真人が推しだったので、よくリクエストして描いてもらってました。
夏の暑い日、エアコンがないAくんの部屋で扇風機を奪い合いながら好きな男の子の話をした後、A君が「音楽聞いていい?」とCDをかけ始めたんです。それがポルノグラフィティのアゲハ蝶でした。
ああ、最近出た曲だね、お昼の放送でも放送委員の子が流してたねとか話したと思う。
「夢で会えるだけでよかったのに 愛されたいと願ってしまったとかさー。今の俺の気持ちなんだよね」
聞き終わったときにポツリと彼が言ったものだから、私はA君にも好きな子できたんだ?!いつも話聞いてもらってんだから私も聞くよ?!ってきゃいきゃい騒いでたなあ。
絶対言わない!って言われたけど。
それがあってから、街のどこかでアゲハ蝶が流れるたびにA君の呟いた言葉を思い出して「一体誰のことだろう」と推理してましたね。たまに答え合わせをしたけど「違う」「教えない」しか返ってこなかった。
扇風機の奪い合いから、炬燵の中で蹴り合いをして遊ぶようになった頃。
私の恋に終わりが見え始めていて、「あー、もう無理かもー」と、食べ終わったみかんの皮を千切りながら(お行儀悪くてすみません)ぐだぐだ愚痴を言う私に、A君がまたポツリと呟いた。
「俺にしたらいいのに」
ん?
んん??
顔を上げてA君を見ると、千切られたみかんの皮以上にぼろぼろな気持ちなんだろう、悲しそうな目をしていた。
鈍すぎる私にも、さすがに答えがわかってしまった。
炬燵に突っ込んだ足以上に顔が熱い。
あと、A君が悲しそうにしているのは嫌だ。
「それも良いかもね」
笑って欲しいから、微笑みかけてそう言った。
A君の瞳に、光が戻ったように見えた。
彼の見ている世界が、変わったかのように。
「アゲハ蝶」にまつわる思い出話でした。
そんな青春時代が私にもあったんですよ、奥さん!
っくあー!!!甘酸っぺえ!!
若いって、いいわねえ(遠い目)
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