ようりす

主に映画館や書店に生息している女子。旅に出たい。

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    自作の小説の供養。

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月と木星と土星

2020年12月17日木曜日の夕方。ふとTwitterのトレンド欄を覗いた私の目に飛び込んできたのが3つの星の名前。 「月と木星と土星」 なんだがよく分からないけど素敵な響き…!とタップしてみたところ、なんでも木星と土星が400年ぶりに大接近するとのこと。その近くに三日月も出るということで、神秘的な天体ショーが見れるのだとか。 “I love you.”を「月が綺麗ですね。」と訳した夏目漱石は、この神秘的な光景を何と表現するだろうか。 古来、我々の祖先は星を神々と彼ら

    • 呼ばれ、惑う。

      「月が怖いの。満月を見上げると、まるで誰かに呼ばれているような気がして……」 大学最後の夏、学生らしいことがしたくて、友人たちと河原で花火をした日。熱気が重くのしかかるような熱帯夜だったと思う。 年甲斐もなく小学生のようにはしゃいだ帰り道、駅までの道を辿りながらふと夜空に浮かぶ満月を見上げていたときだった。 隣を歩いていた彼女がポツリに言ったのだ、「月が怖いの」 と。 私たちの祖先にとって、月は美しいと称えられる反面、「狂気」を持つ存在として畏怖された一面もあったと聞く

      • 女の子の特権

        「女子は化粧しないと出かけられないの可哀想だよね。」 と男友達に言われたのを思い出した。 女子にとってメイクは、高校生までは意識が高い子達の嗜み、大学生からは暗黙の了解、社会人になるとマナーという名の義務。 もちろん、人の数だけ様々な感じ方があるだろう。 それでも 「可哀想」 と言われたとき、それは違うと思った。 たしかに面倒に感じる日もある。 寝坊して慌てて手を抜きで終わらせてしまう日もある。 でも嫌々やっているのかというと、それは違う気がする。 月野うさぎは

        • つながれ。

          ふと青空を見上げると、白い雲を照らす太陽光の幻想的な美しさに息を飲むことがある。 そんなとき、この世界は作り物なのではないかと思ってしまう。 今自分が立っているのは小さな箱庭の中で、神のような存在が日々空を塗り替えている、そんな気がしてくるのだ。 雲の隙間から太陽の光が筋となって差してくる、その幻想的な光景を、人は「天使の梯子」と呼ぶ。 学術的には「薄明光線」と呼ばれる現象らしいけど、「天使の梯子」という呼び方の方がずっといい、だってロマンチックだから。 そんな話をしてく

        月と木星と土星

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        記事

          「恋」 をするって

          昔から恋愛に対して逃げ腰だったと思う。 学生時代、デート紛いの外出を積み重ねた人は何人かいた。 どの相手の時でも互いにそれをデートと呼ぶことは無かったけど、周りの友人には「それってデートでしょ?」と持て囃されることもあったし、この人は私に何らかの形で好意を持ってくれているのだろうなと感じる瞬間もあった。 実際、何度目かの外出の後に告白してくれた人もいた。クリスマスイブに誘ってくれて、告白しようとする素振りを見せていた人もいた。 私はそれを断り、はぐらかしてきた。 向

          「恋」 をするって

          明日も、明後日も、ずっと、

          「電話ボックスはロマンスを運ぶの。」 微笑みながらそう言う祖母の姿が脳裏をよぎる。 幼い頃の私は、おじいちゃんっ子だったらしい。 祖父は、私が幼稚園に入園する前に他界したため、覚えていることはもう少ないが、記憶の中で頭を撫でてくれた大きな手は祖父のものだったのだろう。 朧げな記憶の中の祖父に少しでも近づきたくて、学生時代の私は、祖母に祖父のプロポーズを言葉を尋ねたことがあった。 結局祖母は最期まで教えてくれなかったが、「秘密よ。」と笑った後に、いつもお決まりのように言って

          明日も、明後日も、ずっと、

          子羊たちの悲鳴

          「羊たちの沈黙」と「レッド・ドラゴン」を読んだ私のひとりごと ハンニバル・レクター(英: Hannibal Lecter)は、『羊たちの沈黙』等、作家トマス・ハリスの複数の作品に登場する架空の人物。著名な精神科医であり猟奇殺人犯。殺害した人間の臓器を食べる異常な行為から「人食いハンニバル」(Hannibal the Cannibal、ハンニバル・ザ・カニバル)と呼ばれる。 (weblio辞書より抜粋) 映画化やドラマ化もされ、日本でも有名なトマス・ハリスの小説「ハンニバル

          子羊たちの悲鳴

          ノスタルジー

          電車で2駅、そこから15分ほどバスに揺られ、さらに歩くこと10分。 某古本街の大通りから少し外れた小さな通りにひっそりと佇む古びたビル。人気は無く一見ただの廃ビルにしか見えないその建物の前を、都会の時間に追われる人々は足早に通り過ぎていく。 そこが私の目的地だった。 長年の汚れのせいでくすんでしまったガラスドアをそっと押し開け中に入ると、備え付けの小さなエレベーターに乗り込む。3階行きのボタンを押し、ガタガタと音を立てながら閉まっていくドアを眺めながらそっと息を吐き、壁にも

          ノスタルジー