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補助金の基本ルール3つがわかる|補助金等交付規則など|公務員向け補助金ミニ講座

こんにちは、よくばりパパです。

 補助金に関して、地方公務員に役に立つ記事をこれから書いていくにあたって、決意と思いをまず書かせていただきました。思った以上にたくさんのスキをいただき、ありがとうございました!

 都道府県で現役の地方公務員をやっていますが、自分が関わったことのない分野や他自治体の事例は詳しくはないので、改めて補助金について詳しく勉強しなおしています。

 本記事では、補助金のベースになる基本的なルール(法律/規則/要綱や要領)を3つ解説し、実際の地方自治体の担当者が気を付けるべき点を書きたいと思っています。

1.補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律

補助金といえばこの法律。「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」。通称「適正化法」で「てっかほう」と呼ばれたりします。

その名の通り、補助金を適正に執行を図るための基本的な規律を規定しているもの。国が国以外の者に対して交付する補助金等に適正化法の適用があるので、国から企業等に対して直接支給される補助金等はもちろん、国の補助金等(国庫)を使う、地方自治体もこの法律の適用があります。


(地方公務員担当者向けメモ)
 この適正化法の解説だけで辞書レベルの本もありますが、実際に補助金担当者になった際に、日常で読み込むことはほとんどありません。
上司が「てっかほうが・・・」と言っている場合は、だいたい問題になっている案件だと思ってもいいくらいだと思います。

抑えるべき主なポイントは2つ。

まず1つ目は、国庫補助金(支出金)が関わっていることと同義ですが、適正化法の適用があるということは会計検査院の検査対象となるということ。会計検査院は補助金担当者にとって恐ろしい存在です。当然適正に執行していますが、それでも返還命令も含めて、厳しい指摘を受けることがあります。

もうひとつは、国の「財産の処分の制限」に規定にひっかかることです。

(財産の処分の制限)
第二十二条 補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。

https://elaws.e-gov.go.jp

 政令で定める財産は、施行令第13条で定められています。

(処分を制限する財産)
第十三条 法第二十二条に規定する政令で定める財産は、次に掲げるものとする。
一 不動産
二 船舶、航空機、浮標、浮さん橋及び浮ドツク
三 前二号に掲げるものの従物
四 機械及び重要な器具で、各省各庁の長が定めるもの
五 その他各省各庁の長が補助金等の交付の目的を達成するため特に必要があると認めて定めるもの

https://elaws.e-gov.go.jp

 補助金ビギナーの担当者だとこれらの規定を知らず、数年前の国の補助金等で購入したり整備したりしたものを、許可なく、処分(売買はもちろん廃棄も含む)してしまうケースもありそうです。処分制限期間は、民間の減価償却よりも長いことが多く、担当者で引き継がれないと、後で発覚した際に、国庫返納に繋がりかねないので注意が必要です。

2.補助金等交付規則

  適正化法が国の補助金の基本ルールとすると、それぞれの自治体ごとに基本ルールが定められています。たとえば東京都だと、東京都補助金等交付規則。

これらは適正化法と同様に、用語や通則が書かれています。条文の構成も適正化法に似ている地方自治体がほとんどです。ただ、調べてみると、兵庫県はそれぞれの部局ごとに補助金等交付規則があるようです。令和4年度まちづくり部補助金交付要綱

https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks26/inspection/documents/machi_youkou.pdf


(地方公務員担当者向けメモ)
適正化法と同じく、補助金実務では日々みるようなものではありません。補助金等交付規則には書かれていない詳細な運用ルールが自治体で定められていれば、条文や用語の読み方は、1度は見ておく必要があります。

3.補助金交付要綱/要領

適正化法や補助金等交付規則などの通則を前提として、それぞれの補助金ごとに作られる詳細な決まりが、補助金交付要綱や要領です。要綱とか要領とか名称に強い意味合いはなさそうです。たとえば、「産地生産基盤パワーアップ事業補助金交付等要綱」を例に説明します。700ページ超えてますが(笑)

第2
産地生産基盤パワーアップ事業補助金(以下「補助金」という。)の交 付については、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和 30 年法律第 179 号。以下「適正化法」という。)、補助金等に係る予算の執行 の適正化に関する法律施行令(昭和 30 年政令第 255 号。以下「適正化法 施行令」という。)、(略)~の定めによるほか、この要綱の定めるところによる。

産地生産基盤パワーアップ事業補助金交付等要綱

適正化法などに定めるほか、この要綱に定めるとありますね。

要綱とかを見るポイントはいくつもありますが、まずは大事なのは3つ。

一つ目は、趣旨・目的です。

第1
今後も拡大が見込まれる海外市場や加工・業務用等の新たな需要に対応 し、野菜・果樹等の国内外の市場を獲得できるよう、その国際競争力を強 化するとともに、生産体制を一層強化することが早急に必要である。この ため、・・・

産地生産基盤パワーアップ事業補助金交付等要綱

補助金を制定した背景や趣旨・目的が書かれています。だいたいの補助金要綱の第1条には同じように補助金の目的が書かています。この条文に基づいて申請などは行うことはないのですが、補助金の解釈の基礎・根拠になるので、補助金を作るときは特に大事なポイントです。

二つ目は、補助事業主体です。

別表1(新市場獲得対策)
耕種作物に関する以下の事業を実施できるものとする。
Ⅰ 推進事業
事業実施主体は、協働事業計画に位置付けられた次に掲げる者とする。 (1)都道府県
(2)市町村
( 3 )公 社( 地 方 公 共 団 体 が出資している法人 を い う 。 以 下 同 じ 。 )
(4)農業者
(5)農業者の組織する団 体(代表者の定めがあ り 、か つ 、組 織 及 び 運 営についての規約の 定めがある団体をい う。以下同じ。)
(6)民間事業者
(7)特認団体
( 8 )コ ン ソ ー シ ア ム( 別 記1別紙1に定める 場合に限る。以下同 じ。)

産地生産基盤パワーアップ事業補助金交付等要綱 P16

事業ごとに誰が補助金を受けることが出来るかが決まっています。補助金を受けることができる主体を補助事業主体と言います。この事業だと、①協働事業計画に位置付けられた②次に掲げる者なので、二つの要件があるようです。

3つ目は、補助対象経費です。

別表1-1 推進事業の補助対象経費
費目  細目  内容  注意点

産地生産基盤パワーアップ事業補助金交付等要綱 P63

補助事業主体と同様に、事業ごとに何の経費が補助されるかが記載されています。例えば、費目に「賃金等」がない場合は、補助金の趣旨目的に該当した事業であったとしても、補助対象となる経費に「賃金等」を使う(充当する)ことはできません。対象経費が何かをよく見ておかないと、せっかく事業をしたのに補助金を請求できないということがあるので、要注意です。


(地方公務員担当者向けメモ)
例に出した補助金は国の補助金でかなり複雑ですが、結局は紐解いていくと大事なポイントは似たようなところです。

趣旨・目的、補助事業主体、補助対象経費の3つをまず把握して、細かい点を読んでいくといいと思います。補助金を作るときも、ここがポイントになるので、よく理解しておくといいです。

4.まとめ

補助金の基本的なルールである補助金適正化法、補助金等交付規則、補助金交付要綱について解説してみました。まだまだ細かいところはあるのですが、次回以降に解説していきたいと思います!

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