見出し画像

絵本の蔵書(その9)「絵本づくりトレーニング」他

 かつて童話作家を目指されたことがあるというアナスタシアさんのお話から、この本を持っていたことを思い出しました。ほぼ読んでいません(笑)。持っているだけで、いつか自分にも絵本が描けるかも知れないという、ひとときの儚い夢を与えてくれる本。

絵本づくりトレーニング / 長谷川 集平 著 筑摩書房

 絵本作家に学生、イラストレーターや編集者による座談会形式のお話の流れに絵解きで解説してあり、一種の絵本になっています。そしてこの本の中で、前にどこかでご紹介した手塚治虫の「マンガの描き方」という私のバイブルが出てきます。絵本を考える上での手ほどきとその手法が少し近いのかも知れません。

手塚治虫の「マンガの描き方」の副題は「似顔絵から長編まで」ですが、実際にはもっと広範な意味での創作の考え方や技術を教えてくれる素晴らしい教科書です。子供にも分かるような解説で、「ラクガキから映画作り」まで可能にします。


賢者のおくりもの
作:オー・ヘンリー 絵:リスベート・ツヴェルガー
訳:矢川 澄子 (冨山房)

 さて、これは名曲「昭和枯れすゝき」が聴こえて来そうなO・ヘンリーの有名な短編で、たぶん3冊持っている新潮文庫の短編集のどこかに入っているかと思います。「一杯のかけそば」など貧しい生活をテーマにした人情噺はたまに話題になります。 あらすじを書くとオチが分かってしまうので書きません。歌でもお聴きください(笑)。

昭和枯れすゝき - さくらと一郎(YouTube動画にリンクしています)


ぼうしのおうち
エルサ・ベスコフ 作・絵 / 菱木 晃子 訳 (福音館書店)

 こびとのおかあさんと3人の子どもたちが、ぼうしのおうちに住んでいました。おかあさんが留守の間に、子どもたちの失敗で家が燃えてしまい…。スウェーデンの古典絵本。
 日本では一寸法師、アイヌ民話のコロポックルや現代の都市伝説に良く聞く小人の話ですが、西洋にも有名な童話・児童文学が色々あります。なぜか分かりませんが、彼らに感情移入すると、物語がとてもドラマチックに感じられます。だから子供時代、多くの人が夢中になるのでしょう。
 有名な「ニルスのふしぎな旅」もその中に含まれるかと思います。


3びきのぶたたち
作・絵:デイヴィッド・ウィーズナー
訳:江國 香織 (BL出版)

 昔むかし、あるところに3匹のこぶたがいました。1匹目のこぶた家は、わらの家。そこにやってきたオオカミは、息を吸って息を吐き、フーと家を吹き飛ばすと、「ひゃあ!」とこぶたはお話の外まで吹き飛ばされちゃった! こぶたを食べようとしたオオカミはあ然……(コブタは、どこだい?)不思議そうな顔をして探します。
 2匹目のこぶたは1匹目のこぶたに誘われて、木の家を吹き飛ばされる前にお話の外に出てしまいました。こうなったら最後のこぶたも一緒。3匹そろってお話の外に出かけちゃおう。(BL出版)

 あらすじの通り、これは「3びきのこぶた」のパロディです。オリジナルを知らないと、途中から途方に暮れてしまう不条理劇になっています。子供向けの寓話とは言い難い内容かも知れません。TVゲームと違い、現実の世界にチート(裏技・インチキあるいは早道)はありません。


エミリー
作:マイケル・ビダード 絵:バーバラ・クーニー
訳:掛川 恭子 (ほるぷ出版)

 20年も家の外に出ないでくらす“なぞの女性”(詩人エミリー・ディキンソン)と少女の思いがけない出会いを美しく描き出す。(ほるぷ出版)
 亡くなった後から高い評価を受け才能を認められた人物は世界中のあらゆるジャンルに存在します。詩人のエミリー・ディキンソンもそういった一人のようです。


「絵本の蔵書」は、終了した「クックパッドブログ」で以前連載していた(所有している)絵本の紹介です。最終的には103冊ありました。(その20)まで続きます。古い名作絵本は、図書館に行けばたぶん見つかります。


<(ↀωↀ)> May the Force be with you.