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恵洪 「煙寺晩鐘」

十年車馬黄塵路  とおとせになる

         とかいのくらし

歳晩客心紛萬緒  としのせむかえ

         こころみだれる

猛省一聲何處鐘  ふときがつけば

         くれのかねのね

寺在煙村最深處  てらがむこうに

         けぶってみえる

隔谿修竹露人家  たにをへだてて

         じんかがみえて

扁舟欲喚無人渡  ふねをよんでも

         せんどうはなし

紫藤痩倚背西風  ふじがからまり

         にしかぜふいて

帰僧自入煙羅去  たくはつそうが

         つたにまぎれる


「煙寺の晩鐘」

*この詩は宋迪の描いた「瀟湘八景」を見て詠んだ連作八首のうちの第七首。ただの描写にあらず、我が身を投影しているのか、情まで伴っており、画の中の世界へ誘導してくれるようだ。

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