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ボードゲームから何を変えられるのか。~人生会議 / ACP普及・啓発を目的としたボードゲームの話~

これは、理学療法士である自分がひょんなことから、ボードゲームを使って、人生会議 / ACP(アドバンス・ケア・プランニング)について普及・啓発活動をすることになったというお話です。

簡単に背景の説明をすると…
自分は今、おうちの診療所という都内で訪問診療を行っている診療所で働いています。
普段は、診療所に関わる色んな業務を担当しているのですが、それとは別に同じ代表が運営している株式会社omnihealの活動として、人生会議 / ACPの普及・啓発を目的としたボードゲーム「エンディングゲームを広める活動もしています。今回は、そっちの活動に関するお話であるということをはじめに説明しておきたいと思います。

エンディングゲームとは、簡単にいうとすごろく型のボードゲームで、特徴としてはゲームを始める前に1人1枚選ぶことになる「人間カード」をもとに架空のキャラクターになりきって、人生終盤を模したマスを進んでいくといった内容です。
宜しければ、ホームページもあるので、見てあげてください。

また、『どういった経緯でゲームをつくったの?』という部分に関しては、別の記事をご参照ください。

さて、そろそろ本題に戻るとして、今回はそんなボードゲームを広める活動を半年ほどしてきて考えたことをnoteにしたいなって思っています。
宜しければ、最後まで見てあげてください m(_ _)m

エンディングゲームを使った活動

エンディングゲームはこれまでゲーム単体での一般販売はせずに、「体験会」として提供をしてきました。

過去の実績でいうと、一緒に開発をしてくれた大阪府豊中市をはじめとした自治体主催の市民向け講座であったり、地域の訪問看護ステーションの研修で使ってもらったりと既にいくつか体験会を行ってきました。

大学の授業で使ってもらったよという話

そんな活動をしてきて、とある大学の薬学部の授業にて、在宅医療の文脈からボードゲームを使ってもらえることになりました。(授業が終わって、ホッとしたところもあるので、この記事を書いています…!)

今回の授業の流れとしては、人生会議 / ACPについての座学→ゲームの説明→ゲームの体験→体験後の振り返りといった内容でした。
普段は、“人生会議 / ACPについて” の部分を医師であるうちのボスがお話することが多いのですが、今回は自分からお伝えさせてもらいました。

特にACPの専門家である訳でも、大学院で学んだという訳でもない立場、はじめはということもあって、『自分なんかが学生にACPについて語るなんて烏滸がましいな…』と思っていた部分もありました。
ですが、在宅医療に従事してきた経験の中で、ACPは大切にしてきたことの一つでもあったので、一人の臨床に携わる人間として伝えられたことはあったのかな?と思います。

そんなこんなでお話をした後には、早速ゲームの体験をしてもらいました。
今回は、お話をくれた大学が遠方だったということもあり、こちらはオンラインでの参加となりましたが、学生さんたちがゲームの体験をしている様子を画面越しに眺めて『すごい盛り上がっている!というかなんか爆笑が生まれている!』と感じました…笑

普通、人生会議 / ACPというテーマでの講義で爆笑なんて生まれないので、そういった意味でも学生さんたちには楽しみながら学んでもらえたのかなと思います。
ここで重要だなと思ったのは、座学だと『ふーん。そういうものがあるんだ。』ぐらいにしか思われない内容であったとしても、ゲームというツールを使うことによって楽しみながら学ぶこともできるということです。

元々の制作背景に重なるところもありますが、ゲームを通して少しでも『人生会議 / ACPって大切なのかも』と、そんな風に思ってもらえたように感じていて、そういったことの積み重ねをこれからもしていきたいなと思った出来事でした。

この活動を自分がしていることの意味って何だろうか?について改めて考えた

ゲームを体験してもらえた話はそんな感じでしたが、今回の出来事を経験してみて「この活動を自分がしている意味って何だろうか?」と改めて考える機会にもなりました。

元々、在宅医療の臨床現場では、理学療法士で一般に「リハビリの人」と呼ばれる職種でもありますし、リハビリテーションを支援することを行ってきました。

その活動の中では、「この方はどんなことに生きがいを感じるのだろう?」「これからどう過ごしていきたいのかな?」「やりたいことって何があるんだろう?」などを考えながら、その対象者の方の暮らしや意向に合わせた介入が求められていました。

そのリハビリテーションの考え方と人生会議 / ACPには、近しい部分が多いんじゃないかなって個人的には感じています。リハビリテーションにおける目標設定然り、暮らしを考えた環境調整然り。

チーム医療の文脈で考えても、チームの共通言語として人生会議 / ACPというワードがあると、対象者の方のことを考える時に「この方って最期どうしたいんだっけ?」といった話がスムーズに行えるので、そういった意味でも重要だなと思っています。

実際の臨床現場では、そのように人生会議 / ACPについて考えることがありますが、このエンディングゲームを広める活動をしていると、人生会議 / ACPの話題から波及して、街づくりのことまで考えることもあります。

地域の医療リソースの違いなど自治体によるところが大きいとは思うんですが、『「家で看取ってもらえる」と思えている人が少ないんです』なんてお話を聞くこともあったりします。そういったことがあると、『じゃあ、そう思えるような街ってどうしたら実現できるのだろう?』と考えることにもなりますよね。

自治体ごとの課題もあれば、日本全体でみても超高齢社会であったり、2040年に訪れるとされる看取り難民問題や介護離職の問題等、社会的な側面からみても、人生会議 / ACPの重要性はこれからもっと高まると考えます。
大きな変化を生むことはできないかもしれないけど、そういったニーズへのアプローチとしてほんの少しでも力になれるのだとしたら、この活動を自分がしていることの意味ってあるのかなと思いました。

…ということで、色んな人にこれからもっと知ってほしいな

エンディングゲームの活動に関しては、つらつらと書いてみましたが、活動をしてきて『もっと色んな人に知ってほしいな!』とやっぱり思うようになりました。

既に、大学の授業や自治体主催の市民向け講座、地域の訪問看護ステーションさんの研修など、色んなところで体験会をさせてもらいました。そこで感じたのは、エンディングゲームがあることによって生まれるコミュニケーションってとても価値があるなということです。
普段の日常では、話されない内容をゲームを通して話すきっかけが生まれる。そういったところに価値があるのかなと今は思えています。
じゃあ、そこから何が変わるのか?と言ったところに関してはまだ分かりませんが、すごく意味のある事なんだろうなということは感じています。

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お話はこれでおしまいですが、エンディングゲームはこれから一般販売も視野に入れて活動をしています。
もし、興味を持ってくれた方がおりましたら、ホームページのお問い合わせフォームもしくは、X(旧Twitter)までご連絡いただけると幸いです!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

エンディングゲームHP


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