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「33歳男、育休を取る」 第1回:井戸に落ちた育休男子

初めまして。33歳になり第一子が生まれ、2019年三月から一年間の育休を取得した男です。

育児ブログや育児日記など、探せば出てくるものもありますが、男性メインの育児参加に関しては、まだまだ社会一般には浸透していない印象です。なので、育児にコミットする男性の目線から、ブログをつけることにしました。

自己紹介から。

33歳、男性、舞台スタッフ。中学生の頃から下北沢に通い、一回り上のお兄さん・お姉さんたちに可愛がられながら、ディープな演劇の世界へ。仕事の場所を東京、静岡、京都と変遷としてきました。たまに知人からいただくフランス語翻訳・通訳の仕事も。紆余曲折を経て、今の会社に拾ってもらって、現在は妻の実家で育休を取得中。京都市在住。

2019年三月に第一子誕生。一年間の育児休業給付金を申請。長い人生の中、子供と向き合う時間が取れるのは今しかないと思って、思い切って一年間の育休を申請しました。

しかし同月、自宅にある深さ15メートルの古井戸に転落し、大怪我を負う。

深さ15メートルのイメージが全然つかないと思いますが、ビルで言うと5階の高さ、衝撃力は時速60キロのスピードで壁にぶつかったようなレベルらしいです。医者には地面が土じゃなかったら、死んでてもおかしくなかったと言われ、生かしてくれた大地に、心から感謝しました。現在、療養中。

※ 第一発見者の作業員の方、レスキュー隊、救命救急、整形外科チームの方々、本当にありがとうございます。そして、応援くださっている関係者の方々、感謝しても仕切れません。事故のことは、後日書きます。

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結婚する当初から、妻とは二人三脚で育児をすることを決めていました。男女平等をモットーにする私たちは、それでも日本の因習が男性優位であることに少しでも抗おうと思いながら、日々過ごしています。

元々、家のことをするのが好きな性格なので、掃除や炊事は苦になりませんでした(洗濯は面倒です)。出不精で家のことをやって一日終わる、というのも嫌な方ではありません(朝と夕暮れの散歩さえあれば)。仕事よりも家のことに精を出したい性格ではあります。

しかし、自分と同世代でも、仕事に精を出して、家庭や友達を省みないことが正しい、常識だと思っている友人・知人もまだまだいます。いや、家庭を省みないのは私は悪いとは思いません。ただ、それによって家庭を守らなくてはならないのが妻であり母であり娘であり、多くの女性たちである/であったことは、考え直さないといけないと思います。私の家庭もそうであったように、日本の高度経済成長期のGDP世界2位という指標の見えないところには、専業主婦たちの見えない「労働」があったことを忘れてはならないと思うのです。なぜなら、もう日本は昔のようには成長しないから。「見えない労働」は、紛れもなく若い世代には男女共に負わされているのです。

男の立場からすると、仕事が大変なのに、どうして家に帰ってまで苦労をしなきゃいけないんだという気持ちは分かります。でも一歩立ち止まって、仕事が大変であることを言い訳にしてないか、と考えてみても良いのではと思います。あなたの考える「仕事」が、本当に生産性のある労働なのか。ただ漫然と仕事っぽい何かをしているだけではないのかと、自問しても良いのではないかと思います。

働いているとよく思うのですが、男性にとって「仕事」というのは、最大の言い訳になるんですよね(仕事はもちろん大変ですよ。)。でも、確定申告で接待費が経費で落とせるって、変だと思うんです。場合と見方によっては、それは贈賄・腐敗行為です。日本社会のモラルというのは「働く男たち」によって正当化されてきたんだと、私は思っています。世の中にあるアンモラルな「仕事」というもので、自分を甘やかしていないか、それによって他の人たちの苦労を増やしてはいないかと問いかけていく必要はあるんじゃないかと思います。

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……と書いておきましたが、育休を取ってまもなく、妻をほぼワンオペ状態に追い込んでいます。男も育児にコミットすべし、世の中の働き方を変えるべしと世に訴えるつもりだったのですが、全然違う趣旨のブログになるかもしれません。井戸に落ちてしまった場合の危険を全力でお届けするかもしれません(汗)。

世のお母様方、許してください、生後一ヶ月の娘を残して妻を未亡人にするよりマシでした。世のお父様方よ、育休を取得してから井戸に落ちるのは止しなさい(→自分)。

育休男子は、まだまだ多くないでしょう。そして、井戸に落ちた育休男子は、もっと少ないんじゃないかと思います。保険と社会保障のありがたさが身にしみる33歳。業務委託契約という名の経費カットは辞めましょう。その契約、本当に労働者性はないんですか?

このマガジンからーーいや井戸の底から、男性の育児参加を訴えかけていこうと思います。