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勝手にチャレンジ1000 0080庭を継ぐということ

荒れ放題の庭。
荒れてしまったのでいっそう晩秋の風情が増す。
秋の日射しに末枯れた葡萄の葉。
細る葉や枝に反して熟れていく、葡萄の房の、豊穣の重み。

今年は栗を諦めた。
夏の間二週間ほど家をあけた間に、隣家から言われて夫が小さな立ち木を切ったのだが、その木を始末せずにそのまま栗の木の下に放っておいたので、栗が落ちても倒れた枯れ木があるために拾いに行けないし、行っても枯れ木のなかに落ちているならわからないだろうし。今年はまたひどい暑さで雨も少なく(温暖化で降るときには集中豪雨だが、この辺りはそれも少なかった)、栗のなりは少なくもあったし。

栗の代わりに柿が沢山実をつけている。
日柿水栗、と、今年も母は言った。曰く、日照りの年は柿が、雨が多い年は栗が豊作なのだと。
どこから来たのかいつの間にうちの庭に生えた柿は紡錘形の渋柿だった。
鈴柿というか筆柿というかほんとに小さくて干し柿にしたら、一口大の実のなかに種が沢山あって手間は同じなのに食べるところが少なくて、ここ数年はずっと作っていない。樹上完熟の柿の実はもっぱら鳥が食べている。
ところが今年は沢山の上に大きくなっているような気がする。木が成長して力をつけると実も太ると言うが、そういうことなのか?
もう少ししたら試しにとってみようと思う。たとえ数個でも干し柿が作れるようなら嬉しい。



小さな庭だが木が多い。
家のぐるりを生け垣と立ち木で囲っているので剪定も大変だし芝も草々に負けて空き地化している。隣家からは落ち葉が、虫が、と、時々いわれ、ジャングルみたいよ、と、言われるが、子供たちが育つ頃はそれなりに芝生の上で遊んだり花を植えて楽しんだりもできたのだ。実家を壊すときにそこの池の生き物たちを移すために掘った池も、20年たって陸化してきている、と、息子は言う。

庭の維持は大変だ。
剪定と草刈りを植え木屋さんに頼んでいるとしても年に2回では覚束ないし、年に二回だけでもそれなりの費用がかかる。やはり自分達の手による日々の手入れがあってこそ。私の好きな空き地的庭も、放置していたら人間を寄せ付けない本当の荒れ地になってしまう。

肝心なのは空き地的な感じで維持できるように整えて置く、ということなのだと思う。
先日まで、なす術もなくもうお手上げ、このまま年末の植え木屋さんを待とう、と思っていた。しかしながらこのところ、何とかしなければ、と気持ちのスイッチがはいり、徐々に気持ちに拍車がかかってきた。
子供たちが帰ってここに住むかどうかわからないし、当面は私たち夫婦二人だからまあ、ゆるゆる好きなようにするさ、とおもっていたのだが、そのうち孫が来るのだ。今は赤ん坊でもすぐに庭をよちよちするようになるだろう。うちの子供たちが遊んだようにニ、三年もすれば庭で遊び始めるのだ。
とりあえ家のぐるりに置かれた要らないものや壊れたものは捨てて、安全な庭にしなければ。栗の木の下の放置された木も植え木屋さんに頼んで捨ててもらおう。

スペースがあるがゆえにいろんなものも放置してあったのだが、とりあえず古い自転車を3台、粗大ごみの日に出してみた。
子供が置いていったり、両親が乗っていた自転車を回収したりで要らない自転車が5台、最近はほとんど使わないけど整備して使おうと思っているものが1台、使おうと思ったときに使えないものばかりなので、香典返しのカタログで選んだ新しいのが1台、計7台の自転車があったのだ。
どうしたらいいの?いっぺんに解決するにはシルバーさんに頼んで回収、ごみ処理場への持ち込みをお願いするか、どこか業者を頼んで他の不用品と一緒に引き取ってもらうか、と思っていたのだが、それぞれ手続きが面倒だったり、お金がかかったり、自転車だけじゃなくてあれこれ捨ててもらわないともったいないか?じゃあ片付けして他のものもまとめておかなきゃ、などと思いがまとまらずにいた。だが、この度、単純に、普通に粗大ごみに出してみたらいいんじゃないの?と思って3台だけ出してみたのだけど、あっさり回収されていった。費用は粗大ごみに張るシール代400円×3=1200円 だけだった。
いっぺんになくならなくても今できることだけを処理して行けばいい、という至極シンプルな結論。

少しずつだが、ようやく思い腰が上がり私も動き始めることができた感あり。
ちょっと行動したことでなにか大きく前進した気がした。

子供たちの誰かがこの家に住むかどうかはわからないし、この家と庭がこの先誰かに住み続けてもらえるかはわからないが、私たちが住んでる間は子供や孫が楽しめるようにしておかなければね。そして、何よりこの庭の住人そのものである木や草種が健やかに共存できる環境を整えなければいけないなと思う。

楽しませてもらった庭をまた誰かが楽しめるように、よい形で次に渡していけたらいいな、と言う気持ちが生まれた。

#gardenwork1000


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