「一期一会」で20年間、頑張ります!

今回の施設の正式名称は「いちご よこすかポートマーケット」ですが、「いちごって、何?」と思っている方もたくさんいらっしゃるはずです。そこで施設の運営主体である「いちご株式会社」の石原実執行役副社長兼COOに、今回のプロジェクトに関してインタビューをすることにしました。聞き手は、よこすかポートマーケット開業準備室スタッフです。

いちご株式会社 石原実執行役副社長兼COO

ー最初に「いちご株式会社」について、簡単に教えていただけますか?

石原:当社は2000年に設立し、2015年に東証一部(2022年4月にプライム市場に移行)に上場した企業で、不動産とクリーンエネルギーを事業の中核に置いています。社名は果物の苺ではなく、人との出会いを大切にする「一期一会」に由来しています。

ー社名とともに「サステナブルインフラ」という言葉を掲げていますが、これはどういう意味でしょうか?

石原:私たちが取り扱っている不動産は、社会にとっての大切なインフラです。そして建物などの不動産は、人や企業を主役にしてこそ本来の価値を発揮します。人々が輝く豊かな未来をつくっていくための、サステナブルなインフラでありたい。そんな願いを込めて「サステナブルインフラ」を掲げています。

ーよこすかポートマーケットは公募によって運営事業者を選定するという方式でした。いちご株式会社がこの公募に手を挙げたのはなぜでしょうか?

石原:私自身が三浦半島の鎌倉出身で、実際に旧ポートマーケットにもよく買い物に来ていました。ですので、個人的な思い入れもありますし、これだけ立地に恵まれた場所ですから、会社としてチャレンジするにしても、そこには大きなポテンシャルがあると考えました。

ーしっかりとリニューアルして生まれ変われば、大きな可能性があると考えたんですね。

石原:当社独自の言葉として「心築(しんちく)」というものがあります。今存在している建物を壊して建て直すのではなく、そこに新しい価値を付加することで、その建物を存分に活かすことができるという考え方です。よこすかポートマーケットは、まさにこの考えを実践できるケースだと思っています。

「心築」という観点で、いちごと流石創造集団が手掛けた「THE KNOT TOKYO Shinjuku」

ー建物所有者である横須賀市全額出資法人、シティサポートよこすかとは長期の契約を結ぶと聞いています。

石原:はい、20年間の契約を結びます。20年にわたってここで事業をするという覚悟のもとでスタートしていますから、短期的な視点だけでは成り立ちません。いかにして地域の皆さんに愛され、そして域外から数多くの観光客を迎え入れられるかという命題に、長期的に取り組んでいく必要があります。

ー横須賀そして三浦半島とはどのような地域だと見ていますか?

石原:なんと言っても、三方を海に囲まれており、非常に豊かな漁場、そして海風と太陽に育まれミネラルたっぷりの横須賀野菜。鎌倉幕府、開国と歴史的にも我が国を代表する文化発信。横浜や東京から近いけれども、全く異なる価値観、気風を持つ人々が住む魅力的な場所です。住人の方々がこの地を愛する想いも伝わってきますし、地域を良くしていこうという意気込みや責任感も感じます。

ー実は施設の運営を担当する予定の私自身も隣の葉山町の出身ですが、三浦半島には地元愛が強い方が多いですね。移住した方からもそんな雰囲気を感じます。

石原:横須賀、三浦、鎌倉、逗子、葉山。それぞれの街ごとにカラーが異なり、独自の価値観や考えを持っている方が多く、それを認め合うというか放置する(笑)というか、そんなこの街が好きという地元愛でしょうか。アメリカの方も多くいらっしゃいます。多様性があって素晴らしい。こだわりが強い方が多いわけですから、施設を運営していく我々からすると「厳しいお客様」ばかりですね(笑)。この皆さんにご満足いただけるように努力していかなければなりません。もちろん観光で訪れてくださる方々にも「三浦半島、横須賀にこんな素敵な場所があったんだ」と感じていただきたいと思います。

ーよこすかポートマーケットでは、どんなメッセージを打ち出していくのでしょうか?

石原:今回は約20のお店に出店いただきますが、皆さん「食」に関連しています。私たちは公募の段階から「フードエクスペリエンス」という概念を掲げてきました。食べ物の恵みを与えてくれる自然に感謝して、食を通じて人と人がつながっていく。そんな食にまつわる一連の体験を「フードエクスペリエンス」と称して、この価値を広げていこうと考えています。食というテーマを通じて、この地域についても深く考えるきっかけをご提供できれば良いですね。

ーこれまでのいわゆる「商業施設」とは少し違う価値観を発信していくということですね。

石原:美味しくて素敵なお店がたくさんご出店してくださいます。コロナ禍の大変な状況の中、また、半導体不足で開業スケジュールが変更となる中でご出店をいただく皆様を尊敬し、感謝しています。そんな皆様と地域の方々とともに、食に関するイベントやワークショップなども積極的に開催していく予定です。一連の活動を通じて「フードエクスペリエンス」という形で横須賀、三浦半島の素晴らしい価値を感じていただければと思っています。

ー最後にメッセージをお願いします。

石原:先程20年の長期プロジェクトというお話をしました。20年先の未来に何が起きているかは正直まったくわかりません。けれども、20年後もこの横須賀、三浦半島が魅力的であり続けること、そして「食」が大切な役割を担っていることは、おそらく変わらないはずです。そんな未来に向けて、皆さんに喜んでもらえるような施設を地道につくっていますので、ぜひ遊びに来てくださいね。

【プロフィール】
石原 実
いちご株式会社 執行役副社長兼 COO
株式会社宮交シティ 代表取締役会長兼社長
いちごマルシェ株式会社 代表取締役会長 ほか

(株)間組(現 (株)安藤・間)にて国内大型ダム工事等の工務、施工管理に従事。2007 年いちご株式会社入社。2011 年から副社長に就任。グループの保有・運用物件の「心築」等、不動産事業の変革・進化への挑戦を推進。「ひとが人らしくつながる場」の創出を目指し、スポーツや農業、商業施設などを通じた社会課題の解決、事業化に取り組む。いちごウエイトリフティング部の部長、ライフル射撃部、陸上部の部長兼監督として、2024パリを目指し選手を育成。

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