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2023年8月25日 春学期「経済学入門」講義

一橋大学経済学部の横尾です。
今日はこの春学期に行った講義「経済学入門」について紹介させてください。

この「経済学入門」は本学経済学部の必修科目です。
そして、この4月に入学した1年生が受講可能な専門科目です。
この1年生向けの「経済学入門」を昨年度から筆者が担当させてもらっています。
なお、環境経済学などの応用科目の講義とは異なり、この基礎科目の担当教員は何年かで入れ替わります。

この講義は全13回からなります。全13回の講義タイトルはこちらです。

一橋大学 経済学入門(経済学部1年生向け)2023(担当:横尾)
第一回  現代経済学への招待
第二回  効用関数と最適化とは何か?
第三回  消費者とインセンティヴ
第四回  生産者とインセンティヴ
第五回  需要・供給と均衡
第六回  公平性と効率性
第七回  分業と貿易
第八回  計量経済学とは何か?因果推論とは何か?
第九回  国の富と所得
第十回  経済成長と失業
第十一回 労働市場と信用市場
第十二回 人間心理と社会実験
第十三回 現代経済学と日本の政策形成

一橋大学シラバスより

なお、本学では「授業方針」にもとづいて、一定数を超える履修者数のある講義は動画のオンデマンド配信となります。
この経済学入門は1年生全員という260名以上が履修していたため、講義は動画配信形式で行いました。
Google Classroomというシステムを使って、2023年4月と5月の月曜と木曜に動画を配信しました。

さて、筆者の経済学入門では、下記の書籍を「教科書」に指定して使用しました。

この教科書の解説が講義時間のだいたい5割を占めます。
残りの5割は私が教科書を補足したり、オリジナルのスライドを使って、教科書には含まれていないけれど現代的な経済学を理解する上で有用と考える話をしました。
あとは、まあ、雑談ですね。動画なのに。

講義期間中に2回、小テストを実施しました。
また、学期末にはこの講義を聞いた上で下記のお題での期末レポート…というか期末コラムを書いてもらいました。

期末コラム お題
経済・社会に関する「コラム」を書いてください。
その際、経済学⼊門の講義で登場した⽤語・概念をうまく取り⼊れてください。
字数の制約「2500字以内(2000字以上)」。様式⾃由。
ファイル名にコラム・タイトルを。要点メモ3つ、⼩⾒出し2または3か所。

また、毎回の講義の後に、アンケートや簡単な確認問題を出題しました。
このアンケートや確認クイズはmanabaというシステムを用いて実施しました。

アンケートともいえるし、講義動画を視聴した上での確認問題ともいえるクイズ。
この質問としては、例えば、以下のものを出題しました。

4月13日締切のアンケート
あなたはどんな社会が「よい」と思いますか?
教えてください。

4月17日締切のアンケート
150文字以内であなたの効用関数について教えてください。
その際、「…になって」「…して」「なるべく…」を使うことをすすめます。

4月27日締切のアンケート
日本の社会と日本政府・日本経済の諸問題の中で、あなたの思う最も根源的あるいは重要な問題とは?

受講生のみなさんの回答はいつも興味深いものでした。
色々と考えさせられました。
集まった回答をスライド化して、それをまた講義動画内で共有してフィードバックもしました。

また、講義も佳境に入ってくると、学修している1年生も疲れてきたと思いますが、配信締切に追われる筆者の側も疲れてきてしまい、そんな時には励ましのメッセージや講義の感想の募集もしました。
そして、

「とてもわかりやすいです」
「面白いです」「楽しいです」「毎週楽しく見ています」
「経済学をもっと学びたくなりました」
「経済学の世界に引き込まれていくようでした」
「コーヒーやラーメンなど身近なものから初めていただけたことで興味を持つことができました」
「教科書を読むだけでは理解できない部分もよく理解できました」
「なんだか世界が広がったような気のする講義でした」

などなどの受講生からの感想に励まされながら、どうにか全13回の動画を配信しました。
(あれからもう3か月も経ちますが。)

文字通り、経済学部に入学したばかりの1年生向けに、経済学の入門となる講義です。
この講義をきっかけに、経済学の魅力を知ってくれて、これから4年弱の経済学部生活で積極的に学んでいってほしいと考えています。
その入り口になれていたら幸いです。

さて、来年度は事情により筆者は経済学入門を担当しませんが、またいつか一橋経済の1年生向けにこの講義が出来ればと思っています。

2023年8月 横尾



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