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猿にもあるらしい「中年の危機」と私の「メランコリック・ノーベンバー」

家のどこかにあるはずなのに、探せない本『サブカル・スーパースター鬱伝』。「サブカル界隈の人物は40を境に鬱になる」という仮説をもとにプロインタビュアーの吉田豪さんが、それはそれは豪華メンバーにインタビューを敢行。リリー・フランキー、大槻ケンヂ、みうらじゅん、松尾スズキ、川勝正幸、杉作J太郎、菊地成孔、ECD、枡野浩一、唐沢俊一……

たしか38歳くらいに読んだ。きたる40歳に向けドキドキしながら読み進めていた頃である。アラサーとかアラフォーとかいう言葉が定着していった頃でもあるように思う。

「鬱」とは少しズレるかもしれないが、「中年の危機」という言葉がある。最近読んだ本によると、類人猿も幸福度の曲線が一番低くなるのは、人間の年齢で言えば45歳から50歳の間らしい。

「人間の幸福度を表す曲線は人間特有のものでないこと、ある程度、生活や社会に影響される面はあるにせよ、その根本的な要因は、人間と大型類人猿に共通する生態であることを示唆している」『大型類人猿の中年の危機が、人間の幸福度を表すU時曲線と一致する証拠』

なんと! サルにも中年の危機があるのである。 

結論から言えば、中年の危機は、これまでにいくつもの苦難から学んだことに対する感受性が高まり、ストレスや不安を感じやすく、それは若い頃にはあった楽観主義バイアスが減少していることでおこるらしい。期待や現実、自分の性格やこれまでのライフステージの選択……すべてが押し寄せてきてカオスになっている状態。でも、それは社会の中でより適応するための過渡期。中年期に鬱状態になるのは誤った考え方のせいではなく、世界をありのままに見ているからだとする「抑うつリアリズム」へ向かって、調整されていく期間とのこと。それが「中年の危機」の正体のようである。

話は変わるが、私は11月のことを、メランコリック・ノーベンバーと読んでいる。「何もしていないのに、今年も終わっちゃうな」がじんわりに忍び寄るからである。必要以上にしみじみしてしまう。師も走る12月になってしまえば、「考えていても仕方ないや」と勢いで過ぎていってしまうので、どうでもよくなっていて、ホッコリ新年を迎えるわけであるが。そんなわけで11月に入り、ややメランコリックである。でも、大丈夫。毎年の経験により、必ず抜けることを知っている。

中年の危機は、「私だけがこんな気分になっているのかもしれない」という孤独感からきているものなのだろう。でも、大丈夫。きっと、皆、同じ。そう、猿にだってある。必ず抜けるのである。





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