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諸君、女のためにもっと美しくなろう

朝、ニューヨーク在住の知人からラインがくる。「スミソニアン博物館のデザイン系のウェビーナー登録、セクシャリティの選択肢が(11+不解答の)12項目(Agender、Cisgender man、Cisgender woman、Genderqueer、Gender Fluid、Nonbinary、Pangender、Questioning of unsure、Transgender、Trans man、Trans woman、Prefer not to answer)になっていたよ!」との報告。

もちろん、まだまだアメリカでも一般的なことではないとはいえ、昨今の日本の現状からすれば、背中さえも見えなくなってしまいそうだ、と感じてしまう。

誰がより多く話すかは、性別とは関係がなく、ステータスと関係があることがわかる。研究者たちは、より話す人はより高い地位を持っていると結論付けた。職場では、それは男性である可能性が高い。

数日前(森元首相の失言直後)、もうすぐ会期が終わってしまう石岡瑛子展「血が、汗が、涙がデザインできるか」に、やっと足を運ぶ。

現実世界にグシャグシャにされていた気持ちで足を踏み入れたからか、「時代をデザインする」とされた最初の展示室TIMELESSで完全にノックアウト。

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「諸君、女のためにもっと美しくなろう」1976年

男性モデルが水を滴らせながらのPARCOのポスターヴィジュアルのコピー。時代は、今よりも家父長制が堅硬であったろう時代。石岡さんのド直球ストレート。この広告が世に放たれてから半世紀が経つ。

今、広告やメディアは、コンプライアンスの観点からも、美しくなるのは異性などを代表とされるような他者のためではなく、「自分のため」と謳う時代となった。「その通り」と納得する一方、時に「表現の逃げだな」と自分自身に感じてしまうこともあり、一連の石岡さんのPARCOの広告ヴィジュアルの前で動けなくなる。

会場では、石岡さんのインタビュー音声がどこにいても響いていた。今でも目を瞑ると、声がマントラの如く脳内でこだましている。

昨日、世界各国大使館が、ハッシュタグを使用して男女平等を求める抗議。それをキッカケに  #DontBeSilent   #GenderEquality   がTwitterのトレンドワード入り。思わず、夜、会社で泣きそうになる。

ところで、あなたは自分の感情と向き合い、血が、涙が、汗がデザインできているのか?

会場を後にして数日経っているが、ずっと石岡さんに耳元で問いかけられている気がしている。

【今日の一冊】




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