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大人世代が「おしゃれ迷子」から脱出する方法を考えてみた

ファッションを軸とした大人世代のwebサイトを運営していた。体型やライフスタイルの変化に戸惑いまくる時期である。好きだったおしゃれに向き合うことに、気が重くなる。ほとんどの人がそのトンネルの中に入った途端、急におしゃれから遠ざかる。仕事や家事、育児に時間や体力を奪われ、おしゃれする意欲が減退する時でもある。

延べ人数7000人くらいの方に会ったと思う。基本的には、おしゃれが好きな方たち。とにかく彼女たちを見てきて、言葉を交わしてきた。それらをザッと振り返り一気に書いてみる。ただ私の雑感を語ることを許してほしい。

①おしゃれ迷子中は、買い物を控える

この期間は、自分が何を着たらいいか分からなくなる。それで、焦って服を買う。さらに、何を着たらいいのか分からなくなる。その無限ループに入りがちである。皮膚科の先生に取材した時、「コスメ好きの方は、肌の調子が悪い時、新しい化粧品を買ってどうにかしようとする方が多い。でも、逆なんです。ひとつずつ使うものを止めてみるんです。そうすると、肌の調子悪さを引き起こしているコスメが分かる。何かを買い足すんじゃなく、何かを止めることを実践したほうがいいです」と言われた。ファッションもこれと同じだな、と思う。迷子中は、服を買わずに、逆に自分のワードローブからアイテムを手放していくくらいの気持ちが肝要だ。

②姿勢を正す

服が似合わないと感じる理由の多くは体型の変化。フェイスラインの変化。肌質の変化……見た目の変化である場合が多い。それにより、自分の加齢と対峙することとなり、気持ちさえ変化してしまうこともあるだろう。

まず、ダイエットに勤しむ前に、姿勢を正すことを意識してほしい。特に「巻き肩」になっている肩の位置を正しくするだけで、肩や背中の「丸み」が軽減される。今まで似合っていたはずのアイテムが似合わないと感じる大きな理由のひとつが、この後ろ姿の丸みだ。

日本人は「巻き肩」になりやすい。先祖が農耕民族だったことも影響している。だから、帯の重心が後ろにくる着物を着ると、バランスがとれるという話も聞いたことがある。スマホも姿勢の悪さに拍車をかけている。進化の過程や文化を超えて、洋服を着る。意識することは大切だ。

姿勢を良くすれば、堂々としている感じが出る。楽しいから笑顔になるのではなく、笑顔になるから楽しくなる。脳はそうできていることを考えるなら、姿勢がよくなるだけで、気持ちさえも堂々としてくるはずだ。おしゃれ見えする条件のひとつは、とにかく堂々としていることだ。何を着ていたかが印象に残っても仕方がない。どうせならば、自分自身の印象を残したい。

③パンツスタイルから逃げない

悪戦苦闘している時に人は買い物をしたがる。もし、あなたがそうだったら、そのラインナップを思い出して欲しい。店舗ですぐに羽織れるもの、胸にあてるだけで想像がつきやすい、つまり試着室に入らなくて良いアイテムがほとんどではないだろうか。試着をしないと買うのが難しいパンツから遠ざかる。サイズ変化を体感しなくても済むスカートを買う頻度が上がっている人もいるだろう。とにかくおしゃれ迷子中の人はパンツから逃げがちである。

とにかく試着をしたおせば、必ず自分の体型をキレイに見せる1本が見つけられる。モデルさんのように、すべてが似合う人など、そうそういない。おしゃれな人は自分の似合うものを繰り返し着ているだけのこと。その1本を見つける労力を惜しまなかっただけのことである。

その1本さえあれば、自分の体型に自信がつく。パンツは毎日同じものをはいたとしてもトップスほどは気にならない。とにかく自分にとってのシンデレラパンツを見つけて欲しい。

シンデレラパンツを選ぶ際は、ウエストにゴムが入ってなく、ストレッチも効いておらず、ワイドシルエットでもないものを選ぶこと。お尻が大きかろうが、太腿が太かろうが、腰位置が低かろうが、必ずそんな自分の体型を端正に見せてくれる1本はある。自分の体型から目をそらさずに、諦めずに。 

④「○○診断」を一旦忘れる

アパレルブランドのインベント会場で、「私、○○タイプなので」と言われることが本当に多かった。客観的にどう見ても、違うアイテムのほうが似合うのに、頑なに譲らない。

おしゃれになるために、自分のタイプが導き出される診断を受けている人は多い。誰かに自分の型を決めてもらうと選択肢がせばまるし、「これならば似合う」と診断されることでの安心感はおしゃれをラクなものにしてくれるだろう。でも、私がたくさんの方にお会いして感じたことは、結果に縛られてすぎている人が多いということだ。何かの診断で自分のおしゃれにルールを課すことで自信をつけることができたなら、そこからは診断結果を忘れた方がいい。おしゃれは、自分をご機嫌にするために、日々の選択を自分で自由に楽しむためのものだ。診断に縛られすぎることで、そのゴールからがどんどん遠ざかってしまう。

その場その場で服との出会いに高揚し、一方で自分と服との関係を冷静に見つめる。その経験の積み重ねが大切だ。占いと一緒で、自分の行動のひとつの指針にしてもいいが、すべてにする必要はない。それは声を大にして言いたい。

⑤髪型を変える

「おしゃれになりたいんです。どうしたらいいですか?」とイベントなどで聞かれることが多かった。その際に私が必ず言っていたのが、「美容院にいって、今までと違う髪型に挑戦してみたらいい」だった。とにかく髪型に意識をもっていくのだ。同じ服を着ていても、髪型が変われば印象が変わる。一方、いくらファッションがめくるめいていても、髪型が変わらないことで印象が変わらない人は多い。年齢を重ねても、だいたい人は鏡越しに28歳くらいの自分を見ているとはよく聞く話。髪型をこの10年くらい変えていないならば、そんな自分を疑ってみてもいいのかもしれない。

「髪にツヤがあり、髪型がフレッシュ。それで、メイクはすっぴん」「メイクはトレンドのメイクをバッチリほどこし、髪には頓着をしない」。どちらの印象のほうがいいだろうか? 

とにもかくにも、自分が想像しているより髪型の力は大きいことに自覚的に。服を買う予算があるなら、まずは美容院でのヘアチェンジをオススメする。

【まとめ】おしゃれは誰のため?

おしゃれになる近道は、新しい服を買うことではなく、少しだけ勇気を持つ。自分を普段から意識する。そして、何より面倒くさがらないことである。

料理とおしゃれは似ていると言われることがある。

プロのスタイリストさんやインフルエンサーが体現するおしゃれは高度だったり、ニッチだったり、趣味性が高かったりすることが多い。「料理がうまくなりたい!」といきなり高級フレンチシェフのプロのテクニックを真似たり、クミンを駆使した料理に向き合うことはないのと同じ。時に憧れることも重要だが、すべてを自分に置き換える必要はない。「自分の美味しい」が分からないうちから、人から褒められるような手の込んだホームパーティメニューに憧れ、材料を揃える段階で心が折れてしまうなんてもったいない。

まずは、「自分」。とにかく「自分」。「自分にとっての美味しい!」は、自分の味覚と対話して出合うしかない。レシピ通りに作ってみて、少し塩っけが足りないと感じたら、塩を足す。ファッションだって同じこと。まず、自分がどう感じるのか、だ。答えを他者に求めても最後は必ず自分に戻ってくる。結局、自分のおしゃれを決めるのは自分しかいないのだ。

年齢を重ねると社会と対峙する機会が増える。その距離感をとりながらのおしゃれに困っているという意見も聞くが、TPOに沿ったマナーやエチケット以上のことを考えても答えは出ない。正解のない世界なのだから、そう割り切るしかない。

おしゃれは、「何を着るか」ではなく、「どうありたいか」を考えること。高いブランドものを着ているのに、まったくおしゃれに見えない人もいれば、逆の人もいるのは、そのためだ。まずは、自分を見つめて、自分に面倒くさがらないこと。センスやテクニックは二の次、三の次(それは経験で自ずと磨かれていく)。

今の40代は、カジュアルをおしゃれの核として大人になった初めての世代と言われている。自由は楽しい。そして、苦しい。だからこそ、その先は、きっと、もっと楽しい。

読者の方々を観察して導き出した、今のところの私の結論である。

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