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読書日記

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2020年5月の記事一覧

岡崎京子とオザケン。そして、あの頃と今と

岡崎京子さんの漫画『ジオラマボーイ・パノラマガール』が映画化され、2020年秋に公開されることが決定。その特報映像を観ると、小沢健二さんの『ラブリー』を歌う声が聞こえてくる。 日々目まぐるしく変化する東京の街を駆け巡りながら、ドキドキ、ジタバタする、ジオラマボーイとパノラマガールの2人の平行線の恋の行く先が描かれる。 岡崎作品の前期と後期私は岡崎作品を前期と後期に分けているところがある。それはバブル崩壊の前後と言えるかもしれないし、80年代的/90年代的と分けられるかもし

「ズーム疲れ」の根本的な原因を考える

以前に『「ズーム疲れ」が止まらない』というnoteを書いた。 その後、「めっちゃ歩く」という解決策を得たものの、これまでの生活様式を、たったの2ヶ月あまりで全リセットできるはずもなく……引き続き、ズーム疲れが止まらない。 テレワーク生活に入って約2ヶ月。だいたい1日2〜3本、オンラインで打ち合わせや取材をこなしている。合間に企画書を書いたり、メールの返信をしたり……その間にご飯を考えて作って食べて……そうやって一日が終わっていく。 『人間の五感は「オンライン」だけで相手

【NETFLIX】継続の意思確認と、リアリティショーと。

携帯を機種変更する時に、無料期間がある便利アプリのダウンロードを勧められた。確かに便利そうなアプリであるが、必要か、と聞かれたらそうでもない。有料に切り替わっても放置する自分が安易に想像できるので、キッパリ断った。 サブスク地獄 まめにいろいろなものをチェックしていかないと、知らず知らずのうちに(厳密に言えば、知っていたのに忘れている)いろいろな料金を払い続けてしまう。サブスクリプション型のサービスは、意識的に見直さないと固定費としてどんどん積み重なっていく。そして、ほとん

『鬼滅の刃』ヒットから『おもてなし幻想』を考える

『鬼滅の刃』の人気がこれほどまでに凄まじいものになったのは、動画配信サービスが流布した状態の今、たくさんの人の「おもしろいらしいぞ」→「観てみよう」が何のストレスもなく行われた結果である、というSNS投稿を見た。 人間は思いついた瞬間に、すぐ行動に起こせる即時性が大切だという視点は、とても興味深く、「たしかに!」と膝を打った。 『おもてなし幻想』という一冊を思い出した。多くのサービスオペレーションの事例をもとに、サービス提供者が考えるサービスは、実は受け手側にはストレスを

擬態、声を上げる、そして連帯のこと

だいたい決まった時間に寝て、起きて、食事をして……生活のリズムが整ってきている。夜が明ける時間が早くなり、気温が高くなるのが早くなってきたので、自粛生活が始まった頃より、だいたい1時間早く目が覚めるようになる。このまだ空気がひんやりした朝の1時間の頭のクリアさは格別で、読書がとてもはかどる。 今朝は、松田青子さんの『スタッキング可能』を読む。 2016年に発売になって評判になっていた今作を、なんで今まで読まなかったのだろう……と激しく後悔。 以下は松田さんのインタビュー

世界を再想像。NYのアベンジャーズ計画⁉︎

ゴールデンウィークが明けた。「GWだー! きゃっほーい」とテンションが上がることもなく、自粛生活と陸続きでなんとなく始まり、淡々と過ごした。仕事が再開された一昨日。GWの始まりは曖昧だったのに、その終わりは私にとっては明確だったように思う。 「もう、こんな自粛生活やってられないよね」というムードがまわりに立ちこめている。何がどうというわけではなく、誰が口にしたわけでもなく、そういう空気感を感じた。 新緑の季節。この曖昧な空気をやり過ごすには、あまりにも外の空気が気持ちいい