マガジンのカバー画像

読書日記

113
読んだ本のこと
運営しているクリエイター

2020年2月の記事一覧

パンデミックの分岐点。Netflixで“今”観たい3作品

この三連休、海外に住む知人数人から「日本は大丈夫?」とメッセージが届いた。香港に住む知人によると、1月中旬から子供たちは学校に行っていないらしい(3月16日まで休校は決定で、延長の可能性あり)。さらに、「日本とイタリアからの渡航者(香港住民含む)は14日間は自宅待機」「韓国からの渡航者(香港住民除く)は、今日から入国禁止」ということである。 知人のジャーナリストは、コレクションへの渡航を見送っている。 「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」の無観客での

人生の折り返し

先頃、46歳になった。 ここ1.2年はアラフォーと自ら口にしないものの、自分の中では自分をアラフォーにカテゴライズしていた。 で、いよいよアラフィフ。 年齢に縛られて生きてきてはいない方だとは思うけれど、人生100年時代と言うならば、いよいよ折り返し。 個人的には、なんとなく自分の年齢が28歳〜32歳くらいで止まっている感覚がずっとある。そんな感じであるから、会社でそんな年代の後輩に「姉さん(姐さん?)」と呼ばれて驚く(苦笑)。 「みゆな」という高校2年生のアーティ

買うべきものがわからない⁉︎

商品そのものより話題性の価値の方が大きい商品というものがある。典型的なものは、エアジョーダンだろうか。学生時代に大ブレイクして、当時「ナイキ狩り」という言葉も流行った(すごいことだ)。需用よりも供給を下回らせ続けることで、所有者の優越感は増し、それを欲する人々の飢餓感はいっそう煽られ、現象は加速する。 そういった現象を表すHype(ハイプ)という言葉がある。誇大な宣伝によって人が夢中になったり盛り上がったりするという従来の意味が転じ、若者たちの間では「(漠然と)カッコいいも

人を憎んで罪を憎まず!?

かなり久しぶりに『存在の耐えられない軽さ』を読んだ。年齢を重ねる度に感じることが変わる奥行きのある小説で、いつ読んでもとても興味深い。ストーリーは、 主人公は脳外科医で、複数の女性と気軽に交際するプレイボーイ。特定のステディをつくらなかった主人公がある時、結婚する。そして、浮気をする。その女性とだけは長続きしている。時代に翻弄されながらも、軽やかに生きる3人の人間の不思議な三角関係を描く。 となるだろうか。そうなのだ、あらすじを語ると三角関係を描いた不倫もの、となってしま

「良い人でいること」こそ、最強の生存戦略⁉︎  バトル番組『ネクスト・イン・ファッション』

「面白いよ」と薦められた『ネクスト・イン・ファッション』を観た。既に、ブランドも立ち上げ、セレブに着用もしてもらっているデザイナーたちが一堂に会し、テーマに沿った服の制作で競うデザイン・バトル番組。決められた時間で服を制作する緊迫感(初めはチーム戦)は『料理の鉄人』の構成に似ている。 レッドカーペット、アクティブウェア、ロック、デニム……テーマによって、得意、不得意がもちろん出てくる。得意なテーマの時にはプレッシャーになり、そうでない時にこそ良い作品が出やすいケースが多く、

時代に「栃木」の風が吹く⁉︎

フィクションは賞に絡んでいる作品をパトロールすることが多い。直近の候補作であった162回芥川賞・直木賞の中で私好みは乗代雄介『最高の任務』と千葉雅也『デッドライン』。厳密に言うなら、芥川賞を受賞した『最高の任務』単行本に収録されていた『生き方の問題』がすこぶる好みであった。 栃木文学 私は栃木出身。乱暴な結論としては、「どちらも栃木が舞台で、そこから醸し出されるなんとも言えない倦怠感に、この2作品とはバイブスが合った」、がその理由。 『生き方の問題』の舞台は足利市。『デッ