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読書日記

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2019年12月の記事一覧

2019年。変わること、変わらないことの悲喜こもごも

渋谷駅の銀座線のホームがあと数日で閉鎖される。移設されるためだ。今なら銀座線の天井が抜けていて、空を見上げると渋谷駅周辺にできたヒカリエやスクランブルスクエアのビルがそびえたつのが見える。 渋谷駅がこわい 最近、渋谷駅周辺を通ると人の混雑ぶりがすごい。昨日、スクランブル交差点を渡って、ハチ公口を目指したが、その人の波を前に息を飲んだ。振り返れば大型ヴィジョンが迫りくるし、音の洪水もすごい。情報量が多すぎやしないか。 最近読んでおもしろかった一冊『パンクする京都』を思い出す

『ジーザス・イズ・キング』を観て、「カニエ・ウェストの大統領選出馬はあるな」と思えた話

9月にカニエについて書かれた書籍を読み、感想を書いた。一言で言うなら、「賞賛を浴びる立場にいるのにジタバタするカニエ」について書かれた一冊だ。それを読むまで私の中では「カニエ=お騒がせセレブ」だったのだが、それ以来見る目が変わってしまった。なんだか温かい目で見守ってしまうのだ。 アルバムと同時にゴスペルグループ結成 数日前にカニエ・ウェストがTwitterでバズっていた。ついていたコメント群から、彼の近況を語る記事自体ではなく、そこに使われていた写真が理由なのは分かった。

沈黙にも意味がある

「沈黙にも耳を傾けないと」とその人は言った。ものごとがなんだか上手く進まない時に、自分の意見を誇示するのではなく、とにかく「傾聴力」を磨くことが大切だと私に教えてくれた人だった。 犬や猫は、嗅覚や聴覚が優れているため、強い視力を持っておらず、鳥類は雄の色彩を識別可能になるように紫外線も見ることができるらしい。 ヒトに近い類人猿やニホンザルのグループは、「恒常的な3色型」で、森の中で果実を見つけやすい。 生存戦略の過程で、私たち人間や類人猿やニホンザルのグループは「3色型

わたしが動けば、世界は動く

尊敬しているスタイリストさんが何人かいる。その中の一人が北村道子さんだ。 先週の土曜日、知人がPRを務めるノースフェイスのイベントに参加した。2日に渡ったそのトークセッションのラインアップはかなり魅惑的だった。年末のせいか予定が立て込んでおり、それでも私が是が非でもと思い時間をつくったのがスタイリスト北村道子さんのセッションだった。 人間の体は、前に進むようにできている。 強い興味と好奇心を持って、 生きていくしかない。 たとえば、北村さんが手がけると、同じ俳優さんがま

私はダーウィンで、闇はニーチェ?

エニアグラムで自分のタイプを診断するという機会があった。私はタイプ5の「調べる人」という結果がでた。 エニアグラム:人間の性格を9種類に分類。この図形に対応させた性格論、性格類型を指す。9つのタイプは、1.改革する人、2.助ける人、3.達成する人、4.個性を求める人、5.調べる人、6.信頼を求める人、7.熱中する人、8.挑戦する人、9.平和を好む人 となる。 タイプの導き出し方は細かく質問に応える方がより的確だろうが、簡易的なものもある↓ ※ちなみに、細かく応えた結果とこ

職場との相性がはかれる12の質問

ギャラップ社が提案する、エンゲージメントを測定するたった12の質問「Q12(キュー・トゥエルブ)」の存在を知った。エンゲージメントとは、従業員エンゲージメントは、「従業員の企業に対する信頼関係や愛着心」と定義されている。 Q1:職場で自分が何を期待されているのかを知っている Q2:仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている Q3:職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている Q4:この7日間のうち、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした Q5:上司

社会学者のシンポジウムは、フリースタイルのラップバトルのようだった

知人とラインのやりとりをしていたら、「今、このシンポジウムにいるよ」と。たまたま近くにいたので、おもしろそうだと顔を出してみる。知人とは入れ違ってしまったが、そこには錚々たる社会学者、人類学者の面々が客席側にも揃っていたらしい。たしかに、センターに宮台真司さんの姿が。 そのシンポジウムの名は、第33回マルチスピーシーズ人類学研究会が主宰する「モア・ザン・ヒューマン」。 今日、地球は人間が利用するだけ利用した結果、汚染され破壊され、人間にしっぺ返しをしかけてきているし、人間

美容大国・日本と外国人観光客。ヘアのミシュランガイドが遂に出た

美容院に行った。私が約20年髪を任せている美容師さんが「カミカリスマに選ばれたんですよ」とスタッフが私に教えてくれた。主に美容を担当している編集者のはずなのに、まったく知らなかった(苦笑)。 選定基準と誕生の背景 「食」のミシュランガイドブックの三ツ星をふまえ、カリスマ美容師も一つ、二つ、三つの3ランク。星の替わりにハサミマーク。ミシュランが店舗を対象にしているのに対し、カミカリスマは主に美容師個人を対象にしているのが特徴だ。 「カリスマ美容師って言葉があったな〜」と思い

年齢を重ねると幸せになる理由

「100年時代と聞くと、希望より絶望しかない」と20代の若者は言った。「寿命が伸びても、結局、年寄りとして生きる時間が長くなるってことじゃないですか」とも。健康面や金銭面など、先を見つめれば、たしかに不安なことしかない。その時は「そうだね〜」と言いながら、お茶を濁してしまったが、「そうでもないよ」という答えを若者に返してあげたい気持ちにもなった。 「老年的超越」という概念と出合った。 話は最初から少し逸れるが、肌にできるシミは正式には「老人性色素斑」という名前だと知った時

勇気の物語。おじさんはベビーメタルで3度覚醒する【最終回】

長かった(長く書いてしまった)物語も今回で最終回。大好きなアーティストのライブに行き、観たかった展覧会にも足を運び、キレイな紅葉もたくさん見て、美味しい食事もたくさんいただいたはずなのに……今回の京都旅でいちばん記憶に残っているのは、小さな飲み屋で会ったベビーメタルおじさんだ。 おじさんの大阪行き最終電車まで、タイムリミットはあと5分。 夢のような時間だったそれがおじさんのライブに対する極めてシンプルな感想である。「良かったですね」と私が言うと、「本当に意を決して行って良