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読書日記

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2019年10月の記事一覧

「内向型」を自覚できるとラクになる話

うすうすは気がついていた。苦笑してしまうほどに、「私のこと」が書かれていた。私は圧倒的に「内向的」人間のようだ。 研究によれば、内向型の人々は外向型の人々よりも、オンライン上で自分について親や友人が読んだら驚くようなことまで明らかにし、「本当の自分」をさらけだし、オンラインの会話により多くの時間を割くことがわかっている。 200人収容の講義室では絶対に手をあげて発言しない人が、ブログではためらいもなく2000人を相手に語っていたり、初対面の人に挨拶するのもままならない人が

35年の時を超え、タイムカプセルのような贈り物が届いた!?

古書店から注文していた古書が届いた。 ヒッピー文化まわりのカルチャーが気になっている。取り寄せたのは、当時、反戦デモの首謀者とされていたトム・ヘイドン(なんとジェーン・フォンダの元旦那さん)の書籍『アメリカに未来はあるのか』だ。開いてみると、同じ時代の書籍の宣伝チラシと小冊子がそのまま挟まっており…… 小冊子の主なラインアップ○『奪われた権力 ソ連における統治者と被統治者』『崩壊した帝国 ソ連における諸民族の反乱』『赤いプロレタリア通り』『ポーランドの夏 激動の20日間』

人生で最も頭が良い時期はいつか? そして、40代をどう生きるか

今、45歳である。この先が、いつまで、どんな風に続くのか、なかなかにぼんやりしている。ミドルエイジ女性のためのwebメディアを立ち上げた時は、キーワードに「45歳」を据えていた。未熟と成熟の間という意味をこめて。いざ、その年齢になってみると、そのどっちつかずの感じが河合奈保子の『ケンカをやめて』状態で、未熟君と成熟君の間にて、揺れる乙女心であることよ。 で、黒川伊保子さんの本である。この一冊は男性脳と女性脳のことが書かれているが、最後の章、「年齢脳」について書かれていた文章

30歳以上の人間を信じるな⁉︎  デジタルネイティブとカウンターカルチャーと

「PCのキーボードが使えないって言うんだよ。卒論も携帯で書いたと言ってる!」と知人は呆れたように言っていたが、携帯でこと足りている世代に、PCキーボード使用を強要するほうが、何年後かから振り返った時には笑い話になるかもしれない。音声認識どころか、脳波で文字を起こすことも研究が進んでいると聞いたこともあるし。 自分たちの“当たり前の感覚”が通用しないときに、「本当に信じられないよね!」「けしからん!」と簡単に片付けるのは踏みとどめるべきなのだろう。デジタルネイティブ世代がこれ

「フラット」は「イーブン」ではない。矢沢永吉さんのこと

被災された皆様に改てお見舞いを申し上げます。 ===================== 台風により、昨日、矢沢永吉さんの43年ぶりの日比谷野外音楽堂の公演が中止された。 矢沢さんの怒りに火をつけたのは、配信計画について送られてきた一通のメール。そのメールへの返答が公開されている。 相手が大きい存在であればあるほど、「自分ひとりのメッセージなんて」という軽い気持ちがあるのかもしれない。少しだけ溜飲を下げられてスッキリするのかもしれない。人の意見に同調することで、より匿

読書中に思い出したら、本気の恋なのかもしれない。続・『ジョーカー』考

信じられないの読書量を呼吸するようにこなす知人が薦めてくれた『社会心理学講義』を修士論文執筆のために読んでいる。「社会心理学という学問を俯瞰する教科書ではなく、人間を理解するために、どのような角度からアプローチをするべきか、それを示唆するのが目的だ」と著者が宣言する一冊だ。 その中の「少数派の力」の章、社会の新陳代謝という項目で引用されていたフランスの社会学者デュルケムの犯罪論。 行為が正しいかどうかは社会的・歴史的に決まる。(中略)悪い行為だから非難されるのではない。我

「名もなき家事」から考える良好な「夫婦関係」って?

最近、本当に分かったことがある。私は家事が得意ではない。やろうと思えば、それなりには料理を作ることはできるし、掃除だって、洗濯だって……しかし、気がつけば料理以外の家事のほとんどを夫が担当している。いや、担当と呼ぶには堅苦しいかもしれない。やれる時間がある方が、やりたい方が、やらないと気になる方がやればいいという我が家のルールにのっとったら、気がつけば夫がそのほとんどをこなしているというのがニュアンスに近い。 仕事モードと暮らしモードが私はなかなか切り替わらないのだが、観察

ジェンダーフルイドの人形キット発売。子供のジェンダーを大人が決めつけないために

ジェンダーフルイド。日本ではまだまだ聞き慣れない言葉である。 ジェンダーフルイド、セクシュアル・フルイディティ(sexual fluidity)は、直訳すれば「性の流動性」すなわち、「(周りの状況によって自発的に)性自認も性的指向も変わることがある」という性の性質を表す言葉とされる。 子供が成長するにつれて趣味や関心が変わるように、セクシュアリティも人間の成長とともに変わる。なのに、買い与えるおもちゃによって、大人が子供のジェンダーを決めつけていないだろうか? そう問いか

合法ドーピング⁉︎  「読書の効能」わたしの場合

半袖で過ごせた昨日から一転、今日、東京は一気に秋になった。小雨も降っており、静かな日曜日である。朝から、友人に薦められた本を読んでいる。 『ラットレース』から抜け出す方法(原題は、『On the Taboo Against Knowing Who You Are』。自己啓発本のような邦題に比べると、原題のほうがピンとくる内容だった。つまり、意味のない作業に忙殺される会社から解放されよう、みたいな本ではない)。 1966年に発売されておりアメリカでは現在まで売れ続けているの