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名前書きのお仕事

3月に入ると地元の保育園から卒園証書への名前書きの依頼がくる。もうかれこれ10年くらいになるのかな。ずいぶんたくさんの子たちの名前を書いてきた。習字教室に来ている生徒さんも何人かそこの保育園出身で、証書を届けてくれる園長先生とはいつもその子たちの話題になって、その成長ぶりの報告をするのが定番になっていたりもする。

忘れっぽい私なので、書いた子たちの名前もすぐに思い出せなくなってしまうのだが、毎回必ず思うことは、今年も「子」のつくお名前はなかったなぁ、である。最後に「◯◯子」と書いたのはいつだったのか……
ちなみに今年は「斗」の字をたくさん書いた気がする。ここ数年人気があるのは「陽」の字だろうか。
一時期話題になっていたキラキラネームにはそこまで出会ったことはないのだが、読めないお名前はけっこうある。
今回はうっかりお伝えするのを忘れてしまったのだが、名前の一覧表には漢字だけではなく、ひらがなも載せてもらえるととても嬉しい。読めなかった名前がそれによってわかると、なんだかにわかに血が通ったようなあたたかさを覚えるのだ。無機質だった文字からその子の姿が浮かんできて、そのお名前をつけた親御さんの想いも伝わってくる。
ただ文字を追って書くのではなく、気持ちを重ねて書くことができるのはしあわせなことである。

細かい文字を書くのは年々きつくなってきてはいるが、小さな人の始まったばかりの人生の節目に少しだけ参加できたように思えるこのお仕事をこれからも続けていかれたらいいなと。

ご卒園おめでとうございます🌸

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