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社会を変える、やさしい買い物
昨日日本のある工場で、ベトナムからきた技能実習生がひどい条件で働かされていることを知った。そこで生産されていたのはMade in Japanの商品だったそう。
海外に住んだこと(長期滞在したこと)がある人なら、誰しもが思うはずだ。日本以外の地では、高品質なものは「高い」のだ。タオルや生活用品だけではない。サービスも同じだ。高級レストランに行かなければ、日本のファミレス並みの接客を受けることはできない。
そして、現地の人はみなそれが当たり前だと思っている。
今住んでいるハノイから日本に帰ってくるたび、感動する。日用品はどれも使いやすくて高品質、さらには安い。コンビニへ行っても、ちょっと奮発して明治屋スーパーで買い物しても、接客のレベルは変わらない。
すごいことだ。
そう。すごいことなのだ、これは。でも私たちはあまりにも「日本の生活」になれすぎていて、これが普通ではないと気が付かない。そしてデフォルト状態だけでもすっごいのに、さらに「コストパフォーマンス」を求めてしまう。
ネットの情報を見ても、雑誌を読んでも。私たちが今消費をする基準は「コスパ」がいいか悪いかが基準となっている。高品質! なのにこのお値段! この言葉にひかれ、そういった類のものを選び、喜んでお金を払う。そしてSNSでシェアするのだ。「コスパいいから、みんな買ってみて行ってみて」とか。
今回の報道で、コスパがよいものの正体が明るみに出た。牢屋のような寮に閉じ込められ、過労死ラインの2倍も超える残業をして「コスパがよい日本製」は産み出されていたのだ。これを聞いて何も感じない人、はいるのだろうか。
安くて品質がいいMade in Japanはもう買いたくない。ベトナムに住んでいる身としては、涙が止まらない。みんな日本に夢を見て学びたいから、働きに行きたいと思ってるんだよ
— 東洋子 (@yoko_taiwan) June 25, 2019
本気で、私たち消費者が目を覚まさなければいけない。開発ストーリーよりも、労働条件を開示しているところのものを買いたい
私は今後安くて品質がいい日本製は、できるかぎり買わない。コスパだけを求める買い物をしていたことも、反省をして改めていく。
だって過酷な労働環境を作った一番の原因は、わたしなのだから。ニュースを見て、涙する自分が一番恐ろしかった。
ある企業の不正が明るみになったとき、よし! 不買をしようと思う。でも、それだけではいけない。全国でひどい労働条件で働いている人は、まだまだいる。何も工場だけではない、会社でも、サービス業でも、ありとあらゆるところで。
残酷な労働条件を作り出したのは、低価格高品質、早くて便利なサービスを求めた私の消費態度だと思う。当たり前のようにコスパ◎な商品を受け取り、少しでも傷があれば怒り、数分の遅れでもイライラする私の社会に対する態度が、奴隷のような労働環境を産んだ。
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報道を見て、ベトナムから来た彼女たちを救いたいと思う人がたくさん現れた。ただひとつだけ私は問いたいのだ。
「やさしい買い物をする、覚悟はできていますか?」
値段相応な買い物をして、迅速さを求めず、ぶすっとした接客を受け入れる。不便な生活を送る、覚悟はできていますか?
私は覚悟したよ。
自分のためのお金も時間も減ってしまう。だけどそれはみなで共有していくべきものだと思う。不便をある程度受け入れられる社会は、きっと。私にも優しい社会であるはずだ。
やさしい買い物を。
今から、ただ粛々とするのだ。
外国人だけでなく、日本人であっても。誰かの苦しみの上にある、コスパ◎なんていらない。一番の悪は、それを求めたわたしだ。
— 東洋子 (@yoko_taiwan) June 25, 2019
今後はサービスと商品の裏にある「過程」に想像力を働かせたい。コスパがいいなんてありえないのだ。対価を払おう。それが回り回って私を今よりずっと幸せにしてくれるんだ
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