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インドネシアの子どもにはイヤイヤ期がないんです

ジャカルタに越してきて、今度こそは現地語を話せるようになりたいと思い、家庭教師の先生に来てもらっている。(ベトナム語は4年近く住んだのに、モノにならなかった…全く)

先生は40代の2人の子どもを持つムスリムの女性。大学時代に日本語を専攻されていて、日本語も上手だし英語もとても上手。太陽みたいに明るい先生で、毎回おしゃべりをするのが純粋に楽しみだ。

先日、レッスン中に「イヤイヤ期のこどもがいて、大変なんです」をインドネシア語で言うと? と聞いてみた。そうすると、先生はうーんと頭を10秒ほど抱えた後はっきり言った「イヤイヤ期って言葉がインドネシア語にない」

へ?

あれ? 質問の仕方が悪かったかな? 英語で言うとTerrible 2と呼ぼれる2歳くらいの子どもがイヤイヤ言って泣いたり騒いだり暴れるやつですよ!と2歳児の実演まで椅子から立ち上がりやってみせた。先生は大笑いしながら「わかるわかる、意味はわかってるよ〜。でもイヤイヤ期とかTerrible 2って言葉がインドネシア語にないんだもん」と言ったのだ。

そのまま続けて先生は「だって子どもっていつでもうるさいものだし、いつでも手のかかるものだから」つまりインドネシアにおいては、幼児がガンガン自己主張をして森羅万象に対しイヤイヤ言うことを、誰も特に気にしていないのだ。なぜなら何かに感覚が向かい、強烈な感情が生まれるからこそ「言葉」は生まれる。それをどうにか他人に伝えたいと思うからだ。しかしだよ、インドネシアにはないんだ。イヤイヤ期なんて存在しないのだ。子どもが泣いても騒いでもイヤーーと叫んでも地べたで泳いでも、誰も気に留めないいたってナチュラルなことと受け止められている。

ねぇ。もう感動すぎない? インドネシア人優しすぎるとイヤイヤ期の子を持つわたしは心を打たれた。

言語化することでその現象とスッキリと折り合いをつけて前に進めることもある。でもわたしはジャカルタで、言語化しない優しさを感じた。ここにいる人たちの先祖様から、子どもを本当におおらかに見守ってきたんだとわかるからだ。

世界にそんなやさしい場所があって、あぁ良かったとインドネシの包容力に惚れ直したのだった。

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