生きてくのだるい、ってときどき思いません？

テレビや新聞や雑誌、そしてインターネットの世界でも。

夢を叶えるために、もっと効率よく仕事をこなしていくために、と人生をよりスムーズに進めていくための情報で溢れている。かくいう私も、それなりに目標もあるし、ついついダラダラと時間を浪費してしまう癖をなんとかしたく、有益な情報のお世話になっている。

実行するかしないかは置いておいて、「OOになるため今やるべき3つのこと」こんな記事を見つけると、ついつい読んでしまう。

生きていくために、もっとよい生活をするためにがんばれよ！ と背中を押してくれる人や情報で世の中は溢れている。そしてそれは昔に比べると、いとも簡単に手に入るようになった、手の中にあるスマホに毎分単位で流入してくる。

昔、私が子供の頃はスマホなんてものはなく、携帯電話は情報を得るためのツールではなくて、単なる知り合いとの連絡ツールでしかなかった。人生を効率よく歩くには？ と疑問を持っても、そんな情報なんて。親や先生のことばと図書館の本から得るくらいしか手段がなかった。

今はスマホを手に入れることができれば、「あらゆる選択肢とその道のショートカット」を知ることができる。デジタルネィティブな彼らを羨ましく思うことが何度あったか。

と、まぁ私たちはやろうと思えば、今の暮らしを生産的に変えていけるのだ。昔よりもきっと簡単に。

でもさ、効率よく生きなきゃと生きなきゃと思って生きるのって、たまにだるくなることありません？ 私は、頻繁にだるくなっちゃう。

だって食べて寝て育って子供を作って死ぬ、これができれば動物的に言えばOKなはずで。

だけれども人間として生まれると、それだけに専念することはできない。食べて寝て育って子供を作るにはお金が必要で、そのお金を得るためには何かしらの労働が必要で、労働をする中でいろんな人間関係があって、働くばかりじゃ健康によくないから気晴らしできる何かが必要で。

きっと動物園の動物たちは、私たちを哀れんでみているんだろうなとよく思う。生きることをどんどん複雑にしていく私たちを。

動物してシンプルに生きていきたい本能と、人間として文化的に生きていきたい理性と。その2つの間で、揺れ動いているのだと思う。ホモ・サピエンスってずっとずっと昔から。

だからこそ、

あー生きるのだるい。

と思うときは、一度動物に戻ってみるのがきっといい。スマホもオフって、ただ食べて寝ることに専念する時間を月に1度でも。何も生産しない、ただ食べて寝てそれだけをするだけ。

もともと人間は動物してシンプルに生きていきたい本能と、人として文化的に生きていきたい理性を持っているとして。今は人として生きることばかりに目が向いちゃって、そもそも、自分が動物であることを忘れているからこそ、辛くなっている人が多いのでは？ 

と、朝誰もいない道をひとりで歩き、木枝の上から歌いながら飛び立つ小鳥を発見し思ったのでした。