辛いときこそ、もしも話が楽しくて
私が今いるハノイの街はソフトロックダウン中である。外出は自由にできるのだけれど、大人数での集まりは禁止され、サービス飲食業は営業をストップさせられている。働く人の多くは、在宅勤務をしていて街はしゅんと活気を失っている。
40度近い猛暑日が続く。気分転換に外を歩こうと思うのだけれでお、なんせ道程のオアシスであるカフェでの一服がないので、どこにも出かける気がしない。夕方なんとか気合を入れて散歩に出かける日もあるが、家の周りをぐるりと回って帰ってしまう。行く先なく歩くことの難しさを嘆く。
自分の手料理にも飽きて、自宅の窓から見える景色にも飽き飽きして。こうなってくると、逃避先は妄想世界になってくる。現状の行動制限がすべてなくなり、どこにでも自由に行けるとしたら…、何を食べに行こうかな。まずはどのレストランでカフェで「自由」を祝おうか。海外との往来ができるようになったのなら、日本に一時帰国するのはもちろんだけれど、どこにまずは旅に出ようか。毎日毎日飽きもせずに考えてしまう。
例えば仕事をしていて時間がないだとか、予算が足りないだとか。自分の環境から出てくる制限にとらわれていたときは、こんな風にもしも話でワクワクすることってなかったと思う。でも今は多少の差はあるけれど、世界全体が同じような外圧的制限をを受けている。だからこしこの「もしも」で盛り上がることができる。老若男女問わず、国籍問わず。
きっと来年には(そう願っている)、みんなが同じ外圧的制限を受けるなんてシチュエーションはなくなっているはずで。だからこそ今、「もしも自由にどこでも行っていいってなったら、どこに行って何をする?」話にうんと花を咲かせておきたいなと思う。
私は…
まずは日本に帰りたい。温泉と回転寿司とコンビニスイーツ食べあさり! それからムシムシ高温多湿な熱帯地方にずっといるのでひんやり乾燥している場所に行きたい。クロアチアの宝石のような海のきらめきを見に行きたい。NHKのドキュメント番組で見てからずっと気になっているバレエをロシアに見に行きたいな〜。あぁ、でもNYで1週間ギャラリー巡りをするのも良いな〜〜。
毎日退屈で辛いけれど、もしももしももしも。こんなに妄想が楽しめるのも現状のおかげ。きっと来年はもうこんなに楽しめないから。今限定のささやかな楽しみを味わい尽くそう。
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