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ハノイの雨に濡れた朝を見下ろす

ハノイのロンビエン橋近くのタワマンに、1週間前から住んでいる。もともと私は高いところ苦手なので、今まで10階以下のマンションにしか居を構えたことがないのだけれど。今回は偶然が重なって、34階のハノイの中では有数のタワマンの最上階にいる。


上から私が今生きている街を眺めてみる。ハノイの住宅の頭はレンガのような色をしている。そしてあっちやこっちやと向く方向が違い、まとまりがない。

道路を歩くと鼻先にまで迫ってくるバイクと車の排気ガスの香りは、さすがに34階まで届かない。それでも人が鳴らすクラクションの音が聞こえてくる。朝6時、街が起きてきた。


ハノイはまだまだ高層ビルが少ない。だから私の部屋の窓から見える景色、首を下にも上にも動かさず水平方向に見える世界は、空と雲だ。ううん、それは空と世界の真ん中にある、名前がないただの空間。

今朝は空が薄暗いうちからひどい雨が降っていて。私は雨粒が窓に叩きつけられる音で目が覚める。それでも遠くから聞こえてくるバイクのクラクションの音は、いつもと変わらず。土砂降りの雨でも、同じように朝が始まって、それが嬉しくてなんだか悲しい。

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地球儀を眺めてみると、日本とベトナムなんて目と鼻の先に感じる。でも今朝は、私は遠いところまでやってきたのだなとしみじみ思った。


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