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NPOを設立する会社員が知っておきたかったこと

NPO1年生のまちのおやこテーブルです。会社仕事の傍で二足のわらじで地域コミュニティ活動を始めて8年目。2021年12月6日づけで法人登記され、正式にNPO法人になりました!

でも、、、NPO法人の認証申請から登記まで何度もやり直しがありバタバタでした。もう自分が同じ手続きをすることはないですが、先に知っておきたかったことをまとめてみました。

・専門家に頼むほどの規模ではないから自分で申請したい
・繁忙期などで忙しく、手続きのための手戻りしている暇なし!
という方には、少しお役に立つかもしれません。特に、旧姓でお仕事やNPO活動をされる方は旧姓でいいところと戸籍名でなければならないところがあるので要注意です!

認証決定から短期間でやること盛りだくさん!

所轄庁(まちのおやこは主たる事務所が東京なので東京都)から「認証決定通知」が来るとバンザイ!と思ってしまいますが、法人設立を完了するために3つ手続きがあります。
(1)法務局で設立登記
(2)所轄庁へ設立登記完了届書
(3)都税(県税)事務所へ法人設立・設置届出書

3つと聞くと簡単そうですが、それぞれの手続きをするためにやることがあります。。。書き出してみたら、(1)は9つ、(2)は3つ(3)も3つありました。要するに3つの手続きは実質15ステップあるというワケです。

しかも、法人登記は設立認証書が到達した日から2週間以内にしなければいけません。法務局は平日しか空いていませんので、営業日でいくとたった10日。しかも、これもやってみて分かったのですが、申請してから登記が完了するのに1週間かかります。(2)(3)は登記完了後でないとできません。(3)の都税(県税)事務所への届出は法人設立(法人登記完了)から15日以内にしなければなりません。

窓口に行って手続き確認、事前相談や事前確認、申請書提出、やり直しの電話対応、補正申請を、繁忙期の中で仕事を抜け出してやるのは半端なくヤバかったです(涙)。これから手続きをされる方に少しでもお役に立てば幸いです。

(1)法務局で設立登記するためにすること

①NPO法人設立登記申請書の作成
基本的な記載方法は法務局の記載例通りでOK。

落とし穴①:定款上、「理事長」や「代表理事」であっても、登記上はあくまで「理事」とのことですので理事と記載しましょう。

落とし穴②:NPO認証申請では旧姓併記の住民票提出により旧姓で認証申請できますが、登記上はあくまで戸籍名がメイン、旧姓はあくまでオマケ。()扱いです。申請するときは、戸籍上の氏名(旧姓の氏名)と記載します。

②印鑑届出書作成
法務局の記載例通りで基本OK。

落とし穴:旧姓を登録する場合、上記の通り戸籍上の氏名(旧姓の氏名)と記載します。

③電磁的記録媒体の作成
登記すべき事項についてテキストファイルを作成し、CD-Rなどに書き込み提出します。ファイルは記載例通りで基本OKです。

落とし穴①:役員に関する事項で書くべきは代表権を有する者だけです。他の人は登記対象ではないのです!「資格」は上記の通り、代表理事や理事長であっても、「理事」です。

落とし穴②:繰り返しですが、旧姓を登録する場合は、戸籍上の氏名(旧姓の氏名)と記載します。決して旧姓だけで書かないように!

④就任承諾書の作成
理事に就任することについて承諾したという書類を作成します。自分で自分が承諾したことを作成するのはちょっと変な気分ですが。記載例はこちら

落とし穴:法務局の記載例の吹き出しにはこんな記載があります。「代表権を有する者(理事)の就任を承諾したことを証する書面(就任承諾書)を添付します。 なお,設立当初の役員は,定款で定めなければならないことから,選任機関によって理事が選任されたことを証する書面は,当該定款の添付で足ります。」

これをみて、定款があれば就任承諾書の書類は不要!と読んだ私はのちに再提出を求められることになりました。日本語って難しいですね。というわけで初めから作成して提出してください。

⑤役員等の氏の記録に関する申出書の作成
法人登記は理事の戸籍名で行われるのですが、旧姓も記録することができるようになりました!NPO認証において旧姓で登録したため、ぜひ記録したかったです。記載方法はこちらを参考にさせてもらいました。

落とし穴:繰り返しですが、申し出人はNPO認証上は旧姓であっても、あくまで戸籍名で!旧姓は()併記です。

⑥印鑑登録証明書取得(②に必要)
理事本人の実印の証明書、印鑑登録していない場合は印鑑登録も必要!

落とし穴:マイナンバーカードがあるのでコンビニで簡単に入手できる!と思っていたら、印鑑登録自体していなかったことが判明。引越しのドタバタで印鑑登録し漏れていたようです。平日日中に役所に行く羽目になり、意外と窓口が混んでいて昼休みに終わらず焦りました。

⑦会社実印作成(①②に必要)
法人口座開設もすぐに行うことを考えると、法人設立3本セット(会社実印、銀行印、角印)で作っておくと便利!ネットとはいえ数日はかかるので早めに刻印内容を決めて注文しておくと安心です。NPO法人と書くのか特定非営利活動法人と書くのかなど。法人名の文字数が多いとちょっと悩みます。

ハンコ屋さんはNPO法人には慣れていらっしゃらなかったので、自分で調べてネットで注文した方が早かったです。

⑧定款に契印
定款を印刷するだけなら楽なのですが、複数ページにまたがる場合はホチキス止めして、各ページの見開き部分に両ページまたがって2箇所押印します(契印といいます)。この印鑑は⑦で作った会社実印を使うので、⑦の後でないとできません。

落とし穴:定款の最後のページに原本証明として、以下の記載が必要です。「これは、当法人の定款である。法人住所、法人名、理事 理事名」

⑨本人確認証明書の取得(⑤に必要

全体を通しての落とし穴
過去の多くの手続き関係は窓口にいって、記入済みのものを職員さんに確認してもらって必要時応じて修正、提出することで手戻りなくこなしてきました。ところが、少なくとも私の最寄りの法務局出張所はコロナ禍で窓口相談を受け付けていませんでした。あくまで書類を受け付けるだけ。

そのまま書類を出すと(完璧な方は問題ないですが)電話がかかってきて、結局補正を求められ(形式的なことがほとんど)、補正書類を提出に行くハメになります。電話予約で事前相談ができますので、事細かに確認することをお勧めします。

(2) 所轄庁へ設立登記完了届書を出すためにすること

①設立登記完了届出書を作成
これはとてもシンプルなフォームなので簡単に作成できます。所轄庁へは旧姓で認証済みの方は旧姓で届出できます。

②登記事項証明書
法人登記が完了しなければもらえません。

落とし穴:私は登記申請すればもらえるものと勘違いしていましたが、申請から登記完了まで1週間ほどかかります。しかも、証明書の入手は窓口でしかできません!つまり、もう一度法務局の出張所に足を運ぶ必要があります。窓口で登記申請するとその場で登記完了予定日と受付番号を教えてもらえますので、窓口に行く前に念のために電話で登記が完了しているか確認することをおすすめします。

また、(3)のためには登記簿謄本が必要になりますし、法人口座を開設するためにも必要になりますので、登記事項証明書や登記簿謄本はまとめて多めに取っておきましょう

③設立当初の財産目録
自分で作成すれば良いのでOK。しかもNPOは新しく設立するときは0円のケースが多いと親切な職員さんに教えてもらえました。全く想定外だったので、ここは気楽でした!

郵送で①−③を提出してスッキリ。次は、税務局へGO!

(3)都税(県税)事務所へ法人設立・設置届出書を出すためにすること

たとえ収益事業を行なっていなくても、「法人」として法人都民税(均等割)を原則、申告・納付することが必要です。

①法人設立・設置届出書を作成する
記載内容は解説がかなり親切なので、参考になりました。

落とし穴(ではないが、解説になくて電話で確認したこと)
法人番号:法人登記の登記番号とは別に、国税庁が付番するものでタイムラグがあるそうです。というわけで、届出時はなしでOK
代表者氏名:登記内容に従う、ということで旧姓で活動される方も戸籍名を記載し、旧姓は併記します。
設立年月日:NPOが認証された日なのか、法務局に登記を申請した日なのか、登記が完了した日なのか分からず、窓口でもNPOの扱いは慣れておらず混乱されましたが、結局は、法務局に登記を申請した日でした。登記事項証明書にも記載されています。
事業年度:初年度は年度途中で事業開始となりますが、ここは会計年度で記載します。

②登記事項証明書を取得する
上記で書いた通り、(2)のための登記事項証明書のときに合わせて取得しておきましょう。

③定款の写しを用意する
これは、文字通りコピーでOK。法務局のように契印は不要でした。

ちなみに、東京都は収益事業がないと法人都民税(均等割)の免除申請ができます。この申請書も張り切って作りましたが、申請期間は毎年4月でしたので勇足でした(笑)。

ゴールデンタイムを無駄にしない

ふー長かった。お読みいただきありがとうございました。怒涛の2週間でした。返す返すも悔やまれることは、NPO認証申請をしてから認証書を受領するまでの約2ヶ月のゴールデンタイムをボーッと本業に没頭してしまったことです。分かる範囲で書類を記載し、電話相談、証明書類の取得や印鑑作成くらいはしておくべきでした。

また、法人登記が完了すれば法人口座が作れますので、その準備としてメインバンクをどこにすべきか、ネット口座を別の銀行にするかは調べておき、(必ずしも収益性が見込めない)NPO法人の口座開設を快く引き受けてくれるところはどこか、各銀行の支店に足を運んで相談しておくこともしておくべきでした。

これからNPO法人を設立される方に少しでもお役に立てば幸いです。


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