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全国の武衛たちよ!鎌倉殿の13人『グランドフィナーレ』をレポートするぞ

2022年を駆け抜けたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。
12月18日(日)の最終回放送当日に鎌倉で開催されたトーク&パブリックビューイングイベント『グランドフィナーレ 「鎌倉殿」の最後の一日』が12月27日(火)に放送された。『鎌倉殿——』の余韻に浸りつつレポートする。

「当日、イベントに参加できなかった」「不覚にも放送を見逃した」という全国の武衛(ファン)たちよ。共に『鎌倉殿——』を振り返り、いま一度あの感動を分かち合おうではないか。

トークイベントには、主人公の北条義時役の小栗旬をはじめ、北条政子役の小池栄子、北条泰時役の坂口健太郎、実衣役の宮澤エマといった”北条家”の面々に加え、義時の妻・のえ役の菊地凛子、三浦義村役の山本耕史、りく役の宮沢りえが出演した。まさにグランドフィナーレにふさわしい華やかさだ。義時の次男・北条朝時役の西本たけるが司会を務め、出演者が順番に引いたお題をもとにトークが展開されていく。

質問1:『鎌倉殿——』を一年間応援してくれた全国の武衛たちに、いつまでも忘れないでほしいと願うことは?

政子=小池「武衛の皆さんの声援は、わたしたちの耳にも直接届いていました。皆さんに見守っていただいた上で、わたしたちもお芝居ができたと思っているので、この『鎌倉殿——』は皆さんと一緒につくったんだということをいつまでも忘れないでほしい」
うれしいことを言ってくれるじゃないか。全国の武衛たちへ向けて語る姿は、御家人たちの前で演説する政子そのものだった。

質問2:来年も、もう一年大河ドラマで走っていただきます、と言われたら?

泰時=坂口「これは他の皆さんも同じだと思うんですけど」
義時=小栗「全然やる。あと3年くらいはやれる」
政子=小池「(登場人物)それぞれのスピンオフも撮ってみたい!」
オォーーー!(会場から拍手)
実衣=宮澤「転生ものをやりたいって話してましたよね。最初に戻ったら正しい道へ行けるのかって」
義時=小栗「でも、朝時は出てこないよ」
朝時=西本「なんで!?」
と会場の笑いを誘うやりとりも。

質問3:大河(ドラマ)で最後まで生き残っている役って、どう?

朝時=西本「ここにいる皆さんは、最終話までいらっしゃいますけども」
義時=小栗「今回みたいな散り際のかっこ良さを書いていただけるなら、早く死んだほうがいいと思う(笑)」
義村=山本「大河(ドラマ)って、途中で花を咲かせて去っていくのもひとつの醍醐味で(そこで役を)まっとうできるけど、生き残る側はまだ続いていくので、僕の中では義村がまだ生き続けていて、まだ終わっていない感じがあるかな」
りくさんは?と振られた、りく=宮沢は「でもわたしは、きょう・・・ あれ、言っていいんでしたっけ?」
言ってはいけないことを言いそうになり、会場の武衛たちは沸いた。出演者も焦りつつも含み笑い。最終回の放送を控えた微妙なタイミングに、
義時=小栗「ここには踏んじゃいけない地雷がいっぱいあるんです(笑)」

質問4:最終回まで死なないでいてほしかった登場人物1位は?

義時=小栗「1位ってなかなか難しいなぁ・・・ でも、第47話の(政子の)演説シーンにこの人がいたらどういう行動をとったんだろう、みたいなのは思いますね。和田義盛が(演説を)聴いていたらどういう行動をとって、畠山(重忠)がいたらどんなふうに聴いていたのか、とか」
政子=小池「畠山さん(の最期)は、やっぱりつらかったな・・・」
(出演者一同、同意)

泰時=坂口「僕は、命をつなぎ留められなかった実朝と頼家で・・・ あの二人のときは切なかったですね。目の前で亡くなったっていうのが」と、当時のシーンに思いを馳せていた。

義時=小栗「さっきの転生する話で、本当にもしも転生できるなら、政子が頼朝と結婚するのを必死に止めにいきますよ(笑)。伊豆の小さな豪族の北条家のまま、戦にも巻き込まれただろうけど、こんなに大変な権力の中に放り込まれずに済んだと思います」
実衣が、政子と頼朝の結婚に怒っていたシーンについて言及され、
実衣=宮澤「なんか怒ってましたね。溜まりに溜まったものがあったのでしょうけど」
政子=小池「(政子が頼朝と結婚したから)だから、全成さまとも出会えたんだけどね」
実衣=宮澤「姉上が(頼朝と)で出会ってなければ、全成さんとの出会いもなかったので」と、それぞれの思いを語っていた。

質問5:VTRの用意はありませんが、自分のシーンでなくても『鎌倉殿——』といえばこれ、というシーンは?

りく=宮沢「自分が出てるところじゃないですけど。最後にみんな悲しみ、苦しみを持ちながら、おんぱらんぷりんぴー、みたいな・・・」
一同「全然、言えてない!(笑)」
りくさん、最高だぜ。
正しくは「オンベレブンビンバ」で、大姫が唱えたおまじない「オンタラクーソワカー」の覚え間違いだ。
りく=宮沢「切なさと笑いが三谷(幸喜)さんの作品ならではのシーンだし、台本をもらったときに声を出して笑ってしまって。自分が出ていないシーンだけど楽しみだったし、北条家の”家族”を象徴するシーンで好きでした」

朝時=西本「(和田合戦のシーンで)実朝を抱きかかえながら、義時の背中をみる泰時の表情がすごく好きで、泰時さんに伝えたんですよ。(坂口が)良かったよね、俺ーー!って(笑)」
泰時=坂口「良かったよね?」
(一同、笑)
泰時=坂口「父上が去っていくとき、父上の表情だけがわかり、奥で合戦してるってところが切ないなって。そういう選択をしないといけない父上の気持ちもわかるけど、”放て”のひと言がひどいと思った」
朝時=西本「あれは冷たかったですね」
義時=小栗「あとは義村の肉体美ですね」
(会場の武衛から笑いと大拍手)
義村=山本「あれは僕から脱ぎたいと言ったわけではないですけど」

のえ=菊地「わたしは第1話の政子さんが頼朝さまにキャピってなってるところ。あそこからすべてが始まっているのかなって」
義時=小栗「あそこ、かわいいんだよね!」
のえ=菊地「あそこから、いまの北条政子に至るまでの過程が好きで。まだ何者でもない、娘だったころの政子、好きです」

——次にトークのお題を引くことになった、義村=山本が「好きな筋肉の部位は?」と小ボケ。

(会場、笑)
朝時=西本「そんなん書いてあるかー!」
義村=山本「それなら、市原隼人の大胸筋!」
会場の武衛、大喜び。現場でもこんな調子でふざけていたらしい。義村、ムードメーカーだったんだな。

質問6:最終回に限らず、台本を受け取ってもっとも悩んだところは?

義村=山本「僕は唯一、今日(最終回)のシーンかな。三谷さんからもこのシーンは難しいです、と珍しく言われていて。なんとかやってくれると信じています、みたいなことを言われて。悩んだというか、すごく計算してやってたかな」

政子=小池「りくさんや実衣ちゃんがお子さんを亡くして取り乱している姿をみて、ようやく、わたし(政子)の気持ちをわかってくれたと思った。わたしが子を亡くして辛いときに、りくさんに”もう前を向いて進みなさい!”って言われて(笑)」
(一同、笑)
りくさんが申し訳なさそうに笑っていたのが、かわいかった。

質問7:クランクインした日の自分に、いま伝えたいことは?

義時=小栗「初日の自分にねぎらいの言葉をかけると、僕は楽をしようとしてしまうので、”オマエ、結構ヤバいから、マジでがんばったほうがいいよ”って伝えると思います。そうすると、たぶん、同じことを繰り返せるのかな。今回のように」
大河ドラマの座長としての重圧もあっただろう。小栗のストイックさが垣間見える発言だった。

——最終回の放送終了後。余韻が残る中、トーク再開

最終回の放送が会場のスクリーンに映し出される。放送終了後、会場に余韻が残る中、出演者のトークが再開された。
政子=小池「毒、入ってなくて良かったですね、義村さん」
義村=山本「思い込みってすごいんだなって。あそこまで苦しむってのが」
朝時=西本「うるせーんだよ、じじい」
義村=山本「誰が言った? 誰が言った?」
さきほど観たばかりのシーンを再現してみせる義村&朝時だった。

のえ=菊地「自然と小栗さんの背中がいろんなものを含んでいて、義時のすべてを物語っている感じですごかったです。(撮影当日は)何日もなにも召し上がっていない状況で、わたしが美味しそうなパンを持っていってしまって・・・」
(一同、笑)
義時=小栗「(美味しそうなパンは)持って帰りました。付け焼刃みたいなものですけど、前の週までは元気なシーンを撮っていて(なにも食べていないのは)そこから少しの間。VSのえさん、VS義村、VS政子と3日連続で撮って最後を迎えた感じでした。めちゃくちゃありがたい環境でしたね。最後のシーンをすべての本当の最後にしてもらえたので。現場の皆さんが考えてくれたと思っていますし」
ハードなラスト3日間について感慨深く語った。

——10月下旬にクランクアップを迎えた義時=小栗の言葉

10月下旬、クランクアップを迎えた小栗の映像が流れる。
義時=小栗「すばらしい脚本をもらい、すばらしいスタッフに囲まれ・・・(涙ぐみ、手で拭いながら)チクショーーー」
(現場スタッフの笑い声)
義時=小栗「本当にしあわせでした・・・ それしかないです。本当に皆さん、いままで支えてくれて、どうもありがとうございました。本当に感謝しています。ありがとうございました」
深々とお辞儀をする小栗に、現場スタッフの惜しみない拍手と歓声が響く。

——京都&北海道にいる出演者が中継で語る

当日は鎌倉以外の会場でもパブリックビューイングイベントがおこなわれていた。別会場にいる出演者が中継で語った。

京都会場からは、大江広元役の栗原英雄。
「物語には描かれていないですけど、義時が死んだ後に(広元が義時の)顔をみに行って、どんな声をかけたのかな、と考えていましたね。”よくがんばった”とか、そういう言葉をかけたんじゃないかと。義時の死をみて自分の役目も終わったと、広元も思ったんだと。だから、翌年に亡くなったんじゃないかと思います。(広元が)いちばん辛いときを一緒に過ごしてきたのは、義時でした」
頼朝や義時を常に近いところで支えてきた広元は、義時が闇落ちして周りにどんどん敵をつくっても、最後の最後まで同志だった。結局、義時のいちばんの味方は広元だったのかもしれない。

北海道会場からは、源頼家役の金子大地、トウ役の山本千尋。
金子は最終回の台本がもらえなかったため、当日まで内容を知らなかった。そのため、放送を見終わった後、ズシーンとくるものがあったらしく、
頼家=金子「ちょっと言葉が・・・ ただでさえしゃべれないのに・・・ 終わり方が好きでした。義時の物語で、義時の死と同時に終わるのが余白のある終わり方だなと。ドラマでこういう終わり方はなかなか無いし、すごくかっこいいと思いました」
放送を見終わった後の小栗も、一緒に見ていたスタッフたちに「かっこいい終わり方!」と絶賛していた。

トウ=山本「トウは、ハッピーな最後を三谷さんが書いてくださって。じつは(トウが武芸を教えていた)子どもたちが13人いて、”トウちゃんの13人”になっているという(笑)」
ここでも13人。汚れ仕事をしてきたトウちゃんに、明るい未来が待っているようで少し安心した。

頼家=金子「頼家の名前が作品の中で出るたびに、忘れていたいろんな感情というか、母上と一緒にお芝居したときの気持ちみたいなものがズクンときました」
最終回の内容に戸惑いもあっただろうが、丁寧に自分の感情を表現していた。頼家、いい子じゃないか。

——そして、いよいよグランドフィナーレ

義時役の小栗が代表して、会場に集まった武衛たちに最後の挨拶。
「皆さま、本日はありがとうございました。ぜひ皆さん、また何度も何度もこの作品を、繰り返し繰り返し愛してもらえたらうれしいな、と思っております。とにかく今日、こういった形で皆さんとラストを迎えることができたことが、僕たちにとって最高のしあわせだと思っております。この一年間、本当にどうもありがとうございました」

事実上、『鎌倉殿——』最後の一日となったトークイベントが幕を降ろした。会場に集結した出演者のみならず、現場スタッフや全国にいる多くの武衛たちとの絆を再確認できたイベントだった。

義時=小栗は、しきりに「ありがとう」と言っていた。それは我々、全国の武衛たちが出演者に、制作陣に、番組関係者に、伝えたい言葉でもある。
一年間、本当にありがとうございました!
我々も最高にしあわせでしたぞ。おつかれさまでございました!


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