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廃車とトラウマや怖さへ

第一章 ぶつかった。


廃車になった。

日曜日(正確には月曜日の0時)の夜、高速道路に乗っていた。いつも下道でいっていたが、今回は高速道路を利用した。

中央分離帯にぶつかって、そのまま脇の土手でひっくり返った。

火薬のにおいがした。以前、友人が車をひっくり返して、火が出たといっていた。とりあえず、外に出ないと燃えてしまうと感じ、外へ出た。ひっくり返ていたが、出なさそうなので、中に戻った。

エアバックの匂いだとわかった。助手席からも出るのだなと思った。

ぶつかったとき、事故直前に聞いていた曲が頭の中でかかっていた。

とにかく携帯を探して、連絡しないといけない。しかし、ガラスまみれで車のものは散乱していた。ああ、カバンのチャックをしておけばよかった。そして、ケータイは体に身に付けておけばよかったと思った。

手や服は血がついていた。あの時、一番安心したのはパソコンが無事だったことだ。このパソコンがないと、自分は終わると思っていた。車なんて、もう仕方がないし、とにかくパソコンだった。

第二章 なにもわからなかった。

ケータイがとにかく見つからなかった。反対車線へはみ出て、ひっくり返ったことだけわかっていた。

仕方がないので、車のものを整理していた。こんなに車にモノが入っていたことを学んだ。

灯りがないので、パソコンの明かりで探した。車の明かりもつくと思い、つけた。エンジンもかかるかどうか、やってみるといがいとついた。

ケータイが奥から見つかった。ブレーキのあたりにあった。あとは、車検証等を準備した。

ケータイが見つからなかったら、車が来るまで外にいようと思っていた。意外と車は通るが、誰も止まってくれない。後に、車が通報してくれたことはわかったが、高速だから止まってくれていなかったのだろう。
しかし、もし中の人が緊急的な状態だったらどうしていたのだろう。

所詮は他人という、冷たい世界だと思った。そう感じたら泣きそうになった。自分は何もできない。ただここで車が来たらジャンバーを振るだけ。
けど、がんばってスマホを探していた。

発煙筒があるじゃないか。つけよう。
発煙筒をつけようとするが、つけ方がわからなかった。ただ、あけたり、床にこすったり。火薬のにおいはしたが、何も起こらなかった。

第三章 怒られた。

ケータイが見つかって110番。そのあと、保険会社に連絡してから、ロードサービスなどの対応をしてもらった。ロードサービスの人はとっても優しかった。

場所はわからなかった。とりあえず、最後のパーキングエリアのことを思い出し話していた。何も出来ないと感じた時だけ、泣きそうになったが、事故当時もその後も、取り乱すことがなかった。普段からいろんなことをしているせいか、刺激に強くなったのだろう。

警察が来て事情聴取を受けた。結構高圧的だったが、話をコロコロ変えると、一貫性がないと思い、同じ話しかしなかった。敗けの99%は自滅と、元プロ雀士が言っていたのを覚えていた。

警察に怒られた。道路の修理をするまで、パトカーにいた。初めてのパトカーだったが、生活感があふれ、想像と違って、なんかショックだった。

レッカーに車を引き揚げてもらった。落ちているものは自分で拾うように言われた。拾っている自分はとても惨めだった。

第四章 日はまた昇る

ロードサービスの人たちはとてもやさしかった。みんな体が大きかった。作業員と、書類を作成する会社は違うんだなと、勉強になった。

何もない時間に本でも読もうかと思ったが、気が動転しているか、頭がおかしいと思われそうなので、やめておいた。

朝6時になった。その前に、さっきの人に怒られたでしょと他の警察に言われた。怒る人と怒らない人で、作業を分担しているのだと思った。特に何もなかったですよと言っておいた。話は操作的で性善説に基づいていないなぁと。

第五章 家路

レッカー車に最寄りの駅まで送ってもらった。車を預かってもらった。
そこからJRを利用して帰った。電車はとても快適だった。すごく懐かしく感じながら、眠りについた。知らない土地から自分の住んでいる町へ。

開放された気がした。来年の車検を払わずに済む、駐車場代もいらない、車の保険代もきっと払わなくて済むなど考えていた。

個人的には、すっきりしている。怪我はしているが、軽傷で済んだ。
移動は自転車になるが、頑張ろうと思う。もともと自転車で頑張っていたので、また頑張ろう。

車両保険等ちょっと色々つけていたので、結果的にはプラスマイナス0になりそうだ。新しい車はあってもなくてもいい。

今週の予定は、仕事以外全部キャンセルした。怪我がどうなるかわからないし、フライトもバスも全部キャンセルした。残念ではあるが、出費が抑えられ、しかも自分の時間ができたと考えると、なぜかうれしく感じる。

この狂ったポジティブ精神が、今の自分を安定させてくれているのだろう。

第6章 身についてしまった怖さ。

自分には元々トラウマがあった。それは、犬への恐怖心だ。

どこからか犬が寄ってきた。そのあと、道路に出て、車と衝突して回転しながら飛んで行った。きゃんきゃん行っていた。それから、犬を見るのもものすごく怖くなってしまった。
時間はかかったが、今は問題なく接している。

昨日、JRで帰っていた。電車のスピードに急に恐怖心を感じた。
ぶつかったときのことを思い出してかわからないが、血の気が引いた。その後、すぐに寝てしまったが、怖かった。

スピードに対して怖さを覚えてしまった。ぶつかったときの音やエアバッグなど思い出してしまう。

病院へ行って検査後、家に帰ってきた。
電話などを済ませてすぐ寝てしまった。16時だった。

そのまま寝てしまい、起きたら朝9時だった。こんなに寝たのは初めてだった。4月からは3時間ぐらい寝て生活していた。短くきついように感じるが、慣れてしまえばこれじゃないと生活ができない。

最近も、ろくに寝れていなかった。17時間も寝ていた。
何もない安心からか、良く寝れたのかもしれない。外傷とかではなく、精神的な安心が眠りへいざなったのだろう。

今日は朝から、電話や予約取り消しなどに追われながらもゆっくりしていた。これから残っているタスクを終わらせたら4時から3時まで勤務をしてくる。

頑張ろうと思う。これからも。

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