文学コミカライザー_横井憲治

漫画を描いています。最近では文学をコミカライズしたものを、note上でアップしています…

文学コミカライザー_横井憲治

漫画を描いています。最近では文学をコミカライズしたものを、note上でアップしています。 過去作は「最強伝説仲根」の原作担当、「漫画で読む名作_ソクラテスの弁明」の漫画担当などです。 Twitterで告知もしておりますので、フォローをよろしくお願いします!@yokoi_san

マガジン

  • 挿絵付き文学_人間失格

    自分がピッコマで連載中の縦スクロールコミック「人間失格」の絵を挿絵に、小説の「人間失格」読んでいただこうという試みです。これを読んで気に入っていただけましたら、ぜひ縦コミ版の「人間失格」もご覧になってみてください!

  • 文学コミカライジング_夏目漱石【夢十夜】

    明治の大文豪、夏目漱石の【夢十夜】という作品を分かりやすい漫画にしてみました。この作品は、夏目漱石が実際に見た夢を十篇の小説にしたものらしく、その不思議な世界観に私自身魅了され、コミカライズをさせてもらいました。 漫画といっても、鉛筆で書いた下描きのようなものなので、絵というよりは その内容を楽しんでいただけたらと思います!

  • 連続マンガ小説_江戸川乱歩「D坂の殺人事件」_全6本

    日本の推理小説の第一人者である江戸川乱歩。彼が生み出した世紀の名探偵「明智小五郎」が初めて登場した記念碑的作品が本作「D坂の殺人事件」で、1925年(大正14年)に発表されました。 江戸川コナン、毛利小五郎の名前の由来となった偉大なる作家の作品を是非マンガでお楽しみください。

ウィジェット

  • 商品画像

    D坂の殺人事件 : まんが【全話収録版】 (文学コミカライジング‼)

    江戸川乱歩
  • 商品画像

    マンガで読む名作 ソクラテスの弁明

    プラトン
  • 商品画像

    最強伝説 仲根(1) (ビッグコミックス)

    福本伸行
  • 商品画像

    最強伝説 仲根(2) (ビッグコミックス)

    福本伸行
  • 商品画像

    D坂の殺人事件 : まんが【全話収録版】 (文学コミカライジング‼)

    江戸川乱歩
  • 商品画像

    マンガで読む名作 ソクラテスの弁明

    プラトン
  • 商品画像

    最強伝説 仲根(1) (ビッグコミックス)

    福本伸行
  • 商品画像

    最強伝説 仲根(2) (ビッグコミックス)

    福本伸行

最近の記事

  • 固定された記事

文学コミカライジング‼_もくじ_

<太宰 治>〇挿絵付き文学_人間失格 こちらの絵が使われたWEBTOON(縦スクコミック)を連載中です! 〇葉桜と魔笛  <夏目 漱石>〇こころ 第一話~ 第十一話~ 第二十一話~ 第三十一話~ ※すみませんこちら更新止まっています! 〇夢十夜(全十話) <中島 敦>〇山月記 <芥川 龍之介>〇羅生門 <江戸川 乱歩>〇D坂の殺人事件(全六話) <プラトン>〇ソクラテスの弁明 <ゴーリキー>〇どん底 <福本伸行> <横井憲治・新井和也・上原求>○

    • 人間失格(挿絵付き)第27話_中毒

      ←第26話 酒よりは、害にならぬと奥さんも言い、自分もそれを信じて、また一つには、酒の酔いもさすがに不潔に感ぜられて来た矢先でもあったし、久し振りにアルコールというサタンからのがれる事の出来る喜びもあり、何の躊躇(ちゅうちょ)も無く、自分は自分の腕に、そのモルヒネを注射しました。不安も、焦燥も、はにかみも、綺麗に除去せられ、自分は甚(はなは)だ陽気な能弁家になるのでした。そうして、その注射をすると自分は、からだの衰弱も忘れて、漫画の仕事に精が出て、自分で画きながら噴き出して

      • 人間失格(挿絵付き)第26話_喀血

         ←第25話  三昼夜、自分は死んだようになっていたそうです。医者は過失と見なして、警察にとどけるのを猶予してくれたそうです。覚醒しかけて、一ばんさきに呟いたうわごとは、うちへ帰る、という言葉だったそうです。うちとは、どこの事を差して言ったのか、当の自分にも、よくわかりませんが、とにかく、そう言って、ひどく泣いたそうです。  次第に霧がはれて、見ると、枕元にヒラメが、ひどく不機嫌な顔をして坐っていました。 「このまえも、年の暮の事でしてね、お互いもう、目が廻るくらいいそ

        • 人間失格(挿絵付き)第25話_信頼心

          ←第24話 ヨシ子が汚されたという事よりも、ヨシ子の信頼が汚されたという事が、自分にとってそののち永く、生きておられないほどの苦悩の種になりました。自分のような、いやらしくおどおどして、ひとの顔いろばかり伺い、人を信じる能力が、ひび割れてしまっているものにとって、ヨシ子の無垢(むく)の信頼心は、それこそ青葉の滝のようにすがすがしく思われていたのです。それが一夜で、黄色い汚水に変ってしまいました。見よ、ヨシ子は、その夜から自分の一顰(いっぴん)一笑にさえ気を遣うようになりまし

        • 固定された記事

        文学コミカライジング‼_もくじ_

        マガジン

        • 挿絵付き文学_人間失格
          28本
        • 文学コミカライジング_夏目漱石【夢十夜】
          10本
        • 連続マンガ小説_江戸川乱歩「D坂の殺人事件」_全6本
          6本
          ¥100

        記事

          人間失格(挿絵付き)第24話_悲惨

          ←第23話  自分は、ぐらぐら目まいしながら、これもまた人間の姿だ、これもまた人間の姿だ、おどろく事は無い、など劇(はげ)しい呼吸と共に胸の中で呟(つぶや)き、ヨシ子を助ける事も忘れ、階段に立ちつくしていました。  堀木は、大きい咳(せき)ばらいをしました。自分は、ひとり逃げるようにまた屋上に駈け上り、寝ころび、雨を含んだ夏の夜空を仰ぎ、そのとき自分を襲った感情は、怒りでも無く、嫌悪でも無く、また、悲しみでも無く、もの凄(すさ)まじい恐怖でした。それも、墓地の幽霊などに対

          人間失格(挿絵付き)第24話_悲惨

          人間失格(挿絵付き)第23話_罪

          ←第22話  自分たちはその時、喜劇名詞、悲劇名詞の当てっこをはじめました。これは、自分の発明した遊戯で、名詞には、すべて男性名詞、女性名詞、中性名詞などの別があるけれども、それと同時に、喜劇名詞、悲劇名詞の区別があって然るべきだ、  たとえば、汽船と汽車はいずれも悲劇名詞で、市電とバスは、いずれも喜劇名詞、なぜそうなのか、それのわからぬ者は芸術を談ずるに足らん、喜劇に一個でも悲劇名詞をさしはさんでいる劇作家は、既にそれだけで落第、悲劇の場合もまた然り、といったようなわけ

          人間失格(挿絵付き)第23話_罪

          人間失格(挿絵付き)第22話_結婚

          ←第21話 そうして翌(あく)る日、自分は、やはり昼から飲みました。  夕方、ふらふら外へ出て、ヨシちゃんの店の前に立ち、 「ヨシちゃん、ごめんね。飲んじゃった」 「あら、いやだ。酔った振りなんかして」  ハッとしました。酔いもさめた気持でした。 「いや、本当なんだ。本当に飲んだのだよ。酔った振りなんかしてるんじゃない」 「からかわないでよ。ひとがわるい」  てんで疑おうとしないのです。 「見ればわかりそうなものだ。きょうも、お昼から飲んだのだ。ゆるしてね」

          人間失格(挿絵付き)第22話_結婚

          人間失格(挿絵付き)第21話_ヨシ子

          ←第20話  世間。どうやら自分にも、それがぼんやりわかりかけて来たような気がしていました。個人と個人の争いで、しかも、その場の争いで、しかも、その場で勝てばいいのだ、人間は決して人間に服従しない、奴隷でさえ奴隷らしい卑屈なシッペがえしをするものだ、だから、人間にはその場の一本勝負にたよる他、生き伸びる工夫がつかぬのだ、大義名分らしいものを称(とな)えていながら、努力の目標は必ず個人、個人を乗り越えてまた個人、世間の難解は、個人の難解、大洋(オーシャン)は世間でなくて、個人

          人間失格(挿絵付き)第21話_ヨシ子

          人間失格(挿絵付き)第20話_幸福

          ←第19話 シゲ子だけは、と思っていたのに、やはり、この者も、あの「不意に虻あぶを叩き殺す牛のしっぽ」を持っていたのでした。自分は、それ以来、シゲ子にさえおどおどしなければならなくなりました。 「色魔(しきま)! いるかい?」  堀木が、また自分のところへたずねて来るようになっていたのです。あの家出の日に、あれほど自分を淋しくさせた男なのに、それでも自分は拒否できず、幽かに笑って迎えるのでした。 「お前の漫画は、なかなか人気が出ているそうじゃないか。アマチュアには、

          人間失格(挿絵付き)第20話_幸福

          人間失格(挿絵付き)第19話_ヒモ

          ←第18話 「あなたは、ずいぶん苦労して育って来たみたいなひとね。よく気がきくわ。可哀そうに」  はじめて、男めかけみたいな生活をしました。シヅ子(というのが、その女記者の名前でした)が新宿の雑誌社に勤めに出たあとは、自分とそれからシゲ子という五つの女児と二人、おとなしくお留守番という事になりました。それまでは、母の留守には、シゲ子はアパートの管理人の部屋で遊んでいたようでしたが、「気のきく」おじさんが遊び相手として現われたので、大いに御機嫌がいい様子でした。  一週間

          人間失格(挿絵付き)第19話_ヒモ

          人間失格(挿絵付き)第18話_家出

          ←第17話 第三の手記 一  竹一の予言の、一つは当り、一つは、はずれました。惚(ほ)れられるという、名誉で無い予言のほうは、あたりましたが、きっと偉い絵画きになるという、祝福の予言は、はずれました。  自分は、わずかに、粗悪な雑誌の、無名の下手な漫画家になる事が出来ただけでした。  鎌倉の事件のために、高等学校からは追放せられ、自分は、ヒラメの家の二階の、三畳の部屋で寝起きして、故郷からは月々、極めて小額の金が、それも直接に自分宛ではなく、ヒラメのところにひそかに

          人間失格(挿絵付き)第18話_家出

          人間失格(挿絵付き)第17話_後悔

          ←第16話 自分が高等学校の生徒ではあり、また父の名にもいくらか、所謂(いわゆる)ニュウス・ヴァリュがあったのか、新聞にもかなり大きな問題として取り上げられたようでした。  自分は海辺の病院に収容せられ、故郷から親戚(しんせき)の者がひとり駈けつけ、さまざまの始末をしてくれて、そうして、くにの父をはじめ一家中が激怒しているから、これっきり生家とは義絶になるかも知れぬ、と自分に申し渡して帰りました。けれども自分は、そんな事より、死んだツネ子が恋いしく、めそめそ泣いてばかり

          人間失格(挿絵付き)第17話_後悔

          人間失格(挿絵付き)第16話_情死

          ←第15話 惜しいという気持ではありませんでした。自分には、もともと所有慾(よく) というものは薄く、また、たまに幽(かす)かに惜しむ気持はあっても、その所有権を敢然と主張し、人と争うほどの気力が無いのでした。のちに、自分は、自分の内縁の妻が犯されるのを、黙って見ていた事さえあったほどなのです。 自分は、人間のいざこざに出来るだけ触りたくないのでした。その渦に巻き込まれるのが、おそろしいのでした。ツネ子と自分とは、一夜だけの間柄です。ツネ子は、自分のものではありません。

          人間失格(挿絵付き)第16話_情死

          人間失格(挿絵付き)第15話_ツネ子

           ←第14話  自分は、お酒を飲みました。そのひとに安心しているので、かえってお道化など演じる気持も起らず、自分の地金(じがね)の無口で陰惨なところを隠さず見せて、黙ってお酒を飲みました。 「こんなの、おすきか?」  女は、さまざまの料理を自分の前に並べました。自分は首を振りました。 「お酒だけか? うちも飲もう」  秋の、寒い夜でした。自分は、ツネ子(といったと覚えていますが、記憶が薄れ、たしかではありません。情死の相手の名前をさえ忘れているような自分なのです)に

          人間失格(挿絵付き)第15話_ツネ子

          人間失格(挿絵付き)第14話_三人の女

          ←第13話 父は、桜木町の別荘では、来客やら外出やら、同じ家にいても、三日も四日も自分と顔を合せる事が無いほどでしたが、しかし、どうにも、父がけむったく、おそろしく、この家を出て、どこか下宿でも、と考えながらもそれを言い出せずにいた矢先に、父がその家を売払うつもりらしいという事を別荘番の老爺(ろうや)から聞きました。  父の議員の任期もそろそろ満期に近づき、いろいろ理由のあった事に違いありませんが、もうこれきり選挙に出る意志も無い様子で、それに、故郷に一棟、隠居所など建て

          人間失格(挿絵付き)第14話_三人の女

          人間失格(挿絵付き)第13話_非合法

          ←第12話 自分には、淫売婦というものが、人間でも、女性でもない、白痴か狂人のように見え、そのふところの中で、自分はかえって全く安心して、ぐっすり眠る事が出来ました。みんな、哀しいくらい、実にみじんも慾というものが無いのでした。そうして、自分に、同類の親和感とでもいったようなものを覚えるのか、自分は、いつも、その淫売婦たちから、窮屈でない程度の自然の好意を示されました。何の打算も無い好意、押し売りでは無い好意、二度と来ないかも知れぬひとへの好意、自分には、その白痴か狂人の淫

          人間失格(挿絵付き)第13話_非合法