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読書感想「しないことリスト(著:pha)」①

「時は金なり」という言葉は全ての人にとって共通の真理だと思います。一方で、労働者にとっては「金は時なり」という逆もまた真なりです。どういうことかと言いますと、労働者は時間を経営者・資本家に売ることで賃金を得ています。つまり、9時-17時で働いてその間に何がしかの商品を作って、その対価として労働給をもらっています。

ここで恐ろしいことに気づきませんか!?我々労働者が「時」を金で買う時、「金は時なり」なので時間を時間で買っていることになります。じゃあ、働かなくていいんじゃない、と思いますがそれが正解なのです。さっさと家に帰って来ればいいのです。

我々労働者が働いて作り出した商品には、当然ですが賃金以上の価値があります。つまり、利益が乗っています。この利益分を資本家が得ています。そして、回りに回って別の資本家から利益が乗った商品を買う時に、我々は2重に資本家から利益を取られていることになるのです。

時間をお金で買うというのは何もタクシーに乗るとか、特急列車に乗るとかそういった事に限りません。単位時間当たりの満足度を向上させるために行う購買活動全てを指します。例えば、1食500円の吉野家でいいのに、1食5000円のフレンチを食べる。1泊3000円のペンションでいいのに、1泊50000円のリゾートホテルに泊まる。時間がないから料理をせずに、出来合いのものを買ってくる、郊外に住めばいいのに、賃料の高い駅近のマンションに住む、など枚挙にいとまがありません。

このような事をしてしまうのは、往々にしてストレスフルな仕事についている人です。仕事が忙しいので時間がない。ストレスも溜まる。平日は出来合いのものを食べて、週末は平日にたっぷり溜まったストレスを解消すべく、お金を散在する。その前後で資本家から2度も利潤を収奪されていることに気づかずに。これは本当に馬鹿げています。

それなら忙しくなく、強度の低い仕事について、平日は手料理を作って食べ、休日は近所の山や海でのんびり過ごす方が、当然人生の満足度が高くなります。なぜか、2度収奪されるはずだった利潤が自分の手元に残るからです。
会社で働いて商品を作るとします。そして、支払われる対価は当然商品の価値以下です。なぜなら、商品の価値より高い対価を払ってしまったら、その会社は潰れてしまうからです。従いまして、資本主義では賃金が商品の価値以下であることは当たり前です。一方で、自分が商品を買う時には、当然その商品にも利益が乗っています。これも当然です。しかし、時間をお金で買うような買い物はあまりにも愚かな行為です。

ありえない喩えですが、自分がとある農業法人に属しているとします。そこで、お米を作ります。その会社はお米を売ります。そのお米をスーパーで買います。じゃあ、元から自分のお米、自分で作ればいいじゃん、って思いませんか。
お米で喩えれば当たり前の事を、時間に変えると途端に分からなくなる。なぜなら、労働者は自分の時間が商品であること、いつか死ぬことが決まっており、限りある資源である時間を切り売りして幾ばくかのお金を得ていること、その事に対してあまりにも無自覚過ぎるからです。

ここまで来たらわかりますね。明日から無駄な仕事からはうまく逃げて早く家に帰ろうじゃありませんか。そして、それでもやらなければいけない仕事はあるのですから、無理くりにでも面白さを見つけて取り組んで、ストレスを溜めないようにしようじゃありませんか。

これがphaさんの本を読んで私が考えたことです。
「お金を稼ぐために働いて、そのことでストレスと溜めて、そのストレスを解消するためにお金を使ってしまうことがないだろうか。毎日働くとお金が貰えるけれど、その代わり疲れが溜まって、疲れを取るためにマッサージに行ったりするとお金がかかってしまう。ストレス解消だと言って気晴らしにモノを買ったり、遊びに行ったりすると、またお金がかかる。なんかそれは意味のない堂々巡りな感じがしたのだ。


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